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【森島 賢・正義派の農政論】国会の劇場化2020年2月3日

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【森島賢】

 国会論戦が始まった。今回も前回と同じように、野党の政府に対する不正疑惑の追及が、議論の中心になっている。しかし、議論が白熱しているほどには、政府はたじろがない。何故か。
 世論調査をみると、政府支持率がほとんど下がらないからである。野党の支持率も上がっていない。だから、政府に危機感はない。そして、ノラリクラリとした答弁を繰り返している。
 疑惑の追及は、寄席で講談を聞くのと同様で、面白おかしい。それをマスメディアが興味本位で報道して、視聴率を稼いでいる。多くの野党幹部たちは、それに悪乗りし、顔を売り出すために、共謀者になっている。いや、首謀者か。
 国民が野党に要求しているのは、疑惑の追及だけではない。それも大事だが、それだけではない。このことに野党は気づいていないようだ。

正義派の農政論 表1

 上の表は、国民が国会議論に何を要求しているか、をみたものである。

 上位に社会政策が並んでいて、その下に経済、外交政策が続く。そして、最下位から2番目に政治家の疑惑追及がある。なお、最下位は憲法改正である。

 国民は、野党の疑惑追及を、この程度にしか見ていない。シラケて傍観している。これでは、野党の支持率が上がる筈がない。
 野党は、政治は国会の中で行うものだ、と思っているのではないか。だが、それは違う。政治は国民の中で行うものだ。国会は、それを集約する場に過ぎない。まさに代議制なのだ。

 野党は、このことに早く気付かねばならない。そうしないと、この茶番ともいうべき低俗な状況は、今後も続く。政府の傲慢も続くし、野党の非力もつづく。そして、国民の政治不信もつづく。

 この状況から早急に脱出しなければならない。



 野党が認識すべきことは、まずこの状況の深刻さである。なぜ野党の支持率が上がらないのか。

 それは、上の調査結果が明確に示している。疑惑追及にかまけて、もっと深いとこにある国民の困窮を顧みないことに原因がある。つまり、調査結果にみられる医療、年金、雇用、教育、子育ての議論がない。ことに国民の大多数を占める弱者の困窮についての議論、つまり、格差問題の議論が、十分に行われていない。

 野党は、いまの社会問題、政治問題の根幹にある格差問題、つまり、弱者を富裕化する議論を中心に据えていない。ここに野党支持率の低迷の深い原因がある。



 いま野党に要求されることは、上の調査で示したような野党支持率に、重大な関心をもって見ながら、たえず弱者の生活の現場に立った議論を、弱者に代わって国会で厳しく展開することである。

 いま国会で議論すべき中心問題は、格差問題である。弱者を富裕化する政策についての白熱した議論である。それは、野党を活性化するだけでなく、政府、与党を含む政界全体の沈滞を打破するだろう。

 野党の政権奪取の可能性は、いまは低いが、自民の党内では一強独裁体制を憂慮している党員が少なくない。



 だから、各野党が協力しあって、格差解消政策を練り上げ、国会で共同提案すれば、それを真摯に受け止める自民党議員は少なくないだろう。そこに望みを託そう。

 それは、次の総選挙での野党の共通公約の土台になるだろう。弱者たちは、真剣な眼差しで注目するだろう。そして、共通公約の策定に、積極的に参画する違いない。やがて、その場が次の総選挙での野党統一候補者の選挙本部に看板を書き代えるだろう。
(2020.02.03)




(前回  農業の可能性を摘み取る政治

(前々回 野党の離合集散劇は見飽きた


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