【2016年 JAの米実態調査から】主食用米 東日本で減少 飼料用米は増加(上)2016年10月4日
5年後の水田農業を全国のJAが予測
(一社)農協協会は、毎年「JAの安心・安全な米づくりと防除対策について」の実態調査を行っている。その2016年の調査結果がこのほどまとまったので、その主要な部分を、米の作付関連(今号)と防除対策(次号)に分けて紹介する。
この調査は、水稲作付面積100ha以上の全国の570JAを対象に、そのJAの水稲関係担当者(営農、購買)にご回答いただいた。調査方式は、郵送による自記入式アンケート調査で、調査期間は2016年2月8日~7月14日。回答数は486件(回収率85.3%)。
回答JAの地区別件数
○北海道=41件(回収率85.4%)
○東日本地区(東北6県、関東7都県、甲信越3県、北陸3県)=211件(同85.8%)
○西日本地区(東海4県、近畿6府県、中国5県、四国4県)=158件(同86.8%)
○九州地区(九州7県、沖縄)=76件(同80.9%)
◆東高西低の集荷率 回答JAの管内水田 面積と集荷率
回答JAの1JA当たり(以下とくに断りがない場合は、1JA当たりの数値)の全国平均水田面積は3754haで、集荷率は55%となっている。地区別にみると、北海道が3634haで集荷率84%、東日本が4712haで同62%、西日本が2696haで同39%、九州が3340haで50%となっている。
JAの集荷率が北海道では8割を超えているが、西日本では4割を切り、東高西低となっている。
◆地区で異なる主食用の作付
図1 主食用米作付面積と生産量
図1は、主食用米の作付面積と生産量について、現在(平成27年、28年産米)と32年の予測を聞いたものだが、32年の作付面積は27年に比べて、全国平均で4.3%減少し、27年の2077haから1988haになると予測されている。生産量も27年の1万351tから1万243tへ1.1%減少すると予測されている。米消費の量が少なくなり人口も減る予測が反映しているのではないかとみえる。
これを地区別にみると、東日本では面積が▲9.1%、生産量が▲1.9%で、減少すると予測されているが、他の地区では微増すると予測され、今後の主食用米についての見方が異なっているようだ。とくに北海道では、作付面積が5.2%増えると予測されているが、生産量は1.5%減少するとみており、他の地区とは異なる結果になっている。
◆東日本で増える加工用米
図2 加工用米作付面積と生産量
図2は、加工用米の作付面積と生産量について主食用と同様にまとめたものだが、全国平均では、作付面積が2.6%増え、生産量も8.7%増加すると予測されている。
作付面積では、北海道・西日本で微減、生産量では西日本で減少すると予測されているが、東日本では、作付面積(8.9%)、生産量(18.7%)ともに増加すると予測されているのが注目だ。
◆飼料用米生産量九州では70%増
図3 飼料用米作付面積と生産量
図3は、飼料用米についてまとめたものだが、全国的には作付面積が18%、生産量で21.7%増加すると予測されている。後にみるように、現在、飼料用米として主食用米が多く作付けされているが、多収米などの作付けが増えるので、面積増より生産量の増加率が高いと予測されているのではないかと思える。
地区別にみると、北海道で面積が61.3%、生産量が67.6%増、九州でも面積が57.7%、生産量が69.3%増加すると予測されているのが目立つ。東日本などと比べると、27年の水稲全体の面積に占める飼料用米面積が小さいこともこうした結果につながっているようにもみえる。
しかし、今後、飼料用米の作付けが全国的に大きく増えていくことは間違いないといえるが、政策的に大きな変化(マイナスの)がないことが前提だとする意見も多い。
◆全国的には倍増の輸出用米
図4 輸出用米作付面積と生産量
図4は輸出用米について聞いたものだが、この質問に回答したJAは全国で47JAと少ないことを予め了解したうえでみて欲しい。
全国的には、作付面積、生産量ともに2.2倍と大幅に増えている。現在も輸出に力を入れている東日本で大きく増加しているが、他の地区では減少または現状維持となっている。
◆大豆は増えるが小麦は微減
図5 大豆と小麦の作付面積
図5は、大豆と小麦の作付面積について聞いたもの。全国的に大豆の作付けは増えるが、小麦の作付面積は微減するという結果になっている。
大豆では、北海道17.9%、東日本16.2%をはじめ全地区で10%以上作付けが増えるとされている。小麦では九州▲25.5%、東日本▲20.3%と大幅に作付けが減少しているので、北海道、西日本で微増しているが、全国的にはマイナスとなっている。
・主食用米 東日本で減少 飼料用米は増加 (上) (下)
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