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【2017年 JAの米実態調査から】第3回 防除対策2017年9月21日

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・2017年JAの米実態調査から価格&幅広い効果と持続性を期待水稲用農薬の使用実態を中心に

 (一社)農協協会では、毎年「JAの安心・安全な米づくりと防除対策について」の実態調査を実施してきているが、その2017年の調査結果がまとまったので、その主要な部分を、米の作付関連(8月30日号既報)と防除対策(今回)に分けて紹介する。

【調査の概要】
 この調査は、水稲作付面積100ha以上の全国566JAを対象に、各JAの水稲関係担当者(営農・購買)にご回答いただいた。調査方式は、郵送による自記入式アンケート調査で、調査期間は2017年2月23日~7月13日。回答数は509件(回収率89・9%)。
回答JAの地区別件数
 ○北海道=45件(回収率93・8%)
 ○東日本地区(東北6県、関東7都県、甲信越3県、北陸3県)=218件(回収率89%)
 ○西日本地区(東海4県、近畿6府県、中国5県、四国4県)=163件(回収率90・1%)
 ○九州地区(九州7県、沖縄)=83件(回収率90・2%)

◆7割が減農薬栽培を3年後も現状と変化なし

 図1―1は、使用農薬の成分数や散布回数を制限した「減農薬栽培」の取り組みの有無を聞いたものだが、全国の75%のJAで取組まれており、とくに東日本と北海道で取組まれている割合が高い。表1は、その中でも「成分数を制限した」特別栽培の全水稲栽培面積に占める割合を聞いたものだが、全国的には13%という回答になっている。また図1―2は「3年後の予想面積」について「現状と変わらない」が全国では66%で「増える」は22%だが、西日本では31%が増えると回答している。

【図1-1 減農薬の取り組み】

2017年JAの米実態調査 図1-1_減農薬の取り組み

 

【図1-2 減農薬の取り組み】

2017年 JAの米実態調査_図1-2  減農薬の取り組み

【表1 全水稲栽培面積に対する比率】

2017年 JAの米実態調査_表1  全水稲栽培面積に対する特別栽培の比率

◆使用剤型の主流は粒剤とフロアブル剤

 図2は、農薬の初期剤、初中期一発剤、殺虫剤・殺菌剤(本田)および育苗箱処理剤で、今どのような剤型が使われており、3年後にどのように変化するかを聞いたものだ。
 「初期剤」ではフロアブル剤がもっとも多く、3年後もほぼ同じ傾向にあるが、粒剤がやや減り、ジャンボ剤がやや増えると予測されている。地域的には、現在も3年後も粒剤が多いと東日本(現在46%→44%)と九州(45%→41%)では回答されている。
 「初中期一発剤」では、全国的に粒剤が多く使われている、北海道では約6割がフロアブル剤と回答し、他地区とは異なっている。今後については各地区ともジャンボ剤がやや増える傾向にあるようだ。
 「殺虫・殺菌剤(本田)」では、粒剤とフロアブル剤が多いが、北海道ではフロアブル剤が50%(3年後は54%)と他地区とは大きく異なる傾向となっている。また、九州では他地区と異なりフロアブル剤29%、粉剤26%、粒剤19%、水和剤18%の4剤型が同じように使用されている。
 「育苗箱処理剤」は各地区のデータも表示したが、北海道以外の地区では「播種同時処理以外」の粒剤がもっとも多く使用されている。北海道では「播種同時処理」の粒剤、次いで「潅注処理」の顆粒・フロアブル剤が使われ、他地区とは大きな違いをみせている。

図2農薬使用剤型と今後の予測

【初期剤の剤型の推定使用面積比率】

2017年 JAの米実態調査_初期剤の剤型の推定使用面積比率  

【初中期一発剤の剤型の推定使用面積比率】

2017年 JAの米実態調査_初中期一発剤の剤型の推定使用面積比率

【殺虫剤・殺菌剤(本田)の剤型の推定使用面積比率】

2017年 JAの米実態調査_殺虫剤・殺菌剤(本田)の剤型の推定使用面積比率  

【育苗箱処理剤の剤型の推定使用面積比率】

2017年 JAの米実態調査_育苗箱処理剤の剤型の推定使用面積比率

◆種子病害・カメムシ・ノビエや抵抗性雑草が悩み

 表2は、必ず防除する病害、害虫、雑草について聞いたもので、病害と雑草についてはもっとも多かった上位10種を表示した。
 「病害」表2-1では、種子病害がもっとも多く、次いで葉いもち、穂いもちとなっているが、九州では穂いもち81%、紋枯病66%が他地区より多くなっている。
 「害虫」表2-2では、斑点米カメムシが圧倒的に多く、全国の水田地帯で大きな悩みとなっていることが分かる。また、イネドロオイムシが北海道78%、東日本61%、トビイロウンカとセジロウンカが九州で各々86%、60%と他地区より高くなっている。コブノメイガも九州で71%、西日本で41%と多い。
 「雑草」表2-3では、ノビエ類、ホタルイ類、クログワイ、コナギなどSU抵抗性でも問題雑草が顔を並べている。北海道では、クログワイ7%、クサムネ2%と少なく、全国平均の上位10位外の、ヘラオモダカ・サジオモダカの42%、シズイ42%さらにミズアオイが67%と多い。また、キシュウスズメノヒエが西日本で34%、九州で31%と多いことも注目される。

【表2-1 必ず防除する病害】

2017年 JAの米実態調査_表2-1  必ず防除する病害

【表2-2 必ず防除する害虫】

2017年 JAの米実態調査_表2-2  必ず防除する害虫

 

【表2-3 必ず防除する雑草】

2017年 JAの米実態調査_表2-3  必ず防除する雑草

◆今後「増える」と予測ドローン農薬散布

 図3は新しい農業用機器として注目されている「ドローン」について聞いたものだ。
 ドローンによる農薬散布した農家があるかどうかでは、「散布農家有り」は、全国で10%だったが、北海道では27%の農家がドローンによる農薬散布を実施している。
 そして、今後の「増加の見通し」では、九州で100%、東日本で91%などを筆頭に、全国平均で86%のJAが「増加する」と予測している。

【図3-1 管内でのドローン散布農家の有無】

2017年 JAの米実態調査_図3-1  管内でのドローン散布農家の有無 

【図3-2 管内でのドローン散布農家は増えるか】

2017年 JAの米実態調査_図3-2  管内でのドローン散布農家は増えるか 

◆水稲除草剤は初中期一発処理単用で

 図4は、水稲除草剤の使用体系について聞いたものだが、「田植同時処理」「田植同時処理以外」を合わせた「初中期一発剤単用」が、全国で50%を占め、西日本、九州では57%、55%と半数を超えている。また、初中期一発剤と「中期剤」あるいは「後期剤」とを組み合わせた体系もで含めると、初中期一発剤が占める割合は、全国で68%と7割近くなることも分かった。
 ここには示さなかったが、「初期剤に望む」こととして、全国の95%のJAが「価格の安さ」をあげ、次いで「効果の持続期間」93%、「効果のある草種の幅広さ」91%、「水稲に対する安全性」85%を上げている。いずれの項目も各地区で重要だとしているが、北海道では「価格の安さ」が100%、九州では「効果の持続時間」が100%と地区JAの全てから重要だと指摘されていることが注目される。

【図4 除草剤の使用体系】

2017年 JAの米実態調査_図4 除草剤の使用体系

(関連記事)

【2017年 JAの米実態調査から】第1回 地域で異なる主食米作付(17.09.01)

【2017年 JAの米実態調査から】第2回 疎植栽培など新技術に期待も(17.09.03)

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