【インタビュー・水田農業対策】金井健・JA全中常務理事(1)2018年11月9日
JA全中は11月8日の理事会で「30年産および31年産以降の水田農業対策に関する政策提案」を決めた。JAグループは需要に応じた生産に引き続き取り組むが、TPP11発効によって豪州産米のSBS輸入枠が設定されることから、これを確実に国内需給から遮断する対策なども重要になる。JA全中の金井健常務理事に30年産をめぐる情勢と政策提案について聞いた。
需給安定が最大の課題
--30年産米の作柄についてはどうみていますか。
太平洋側は平年並みの地域が比較的多いようですが、日本海側、とくに新潟や北海道など主産地が作況95、90と収穫量が下がっているようです。さらに生産現場からは、実際に刈り取りをしてみたらもっと収量が少なかったという声も聞いており、生産者手取りは下がっていると見ています。
(写真)金井健・JA全中常務理事
--来年に向けての需給見通しはどうお考えですか。
農水省が策定した今年7月の需給見通しでは30年産主食用米の生産量を735万t、今年7月から来年6月までの需要量を741万tとして来年6月末の在庫量を184万tとしました。
このうち生産量については733万tの見込みとなったわけですが、問題は需要量がどうなるかです。言い換えれば、来年に向けて、いかに適正在庫にするかがポイントになると思います。
農業政策とは需給政策であり、いかに需給を安定させるかが重要です。需給を安定させたうえで、マーケットインで売れる米づくりをしていくということであって、たとえば需給が緩和していれば何を生産しても安くなるし、需給がひっ迫していれば何もしなくても価格は上がる。米に限ったことではありませんが、需給を安定させることが第一ということです。
--そのために今回決定した政策提案についてお聞かせください。
需給を安定させるためには需要に見合った生産が必要ですが、そのためには主食用米以外の作物をどう作るかが大事で、そこに助成金(水田活用直接支払交付金)が出ているわけです。飼料用米や麦、大豆などに助成金が出ていますが、位置づけとしては、単に需給を安定させるのではなく、基本的には食料自給率の向上を図り農業の多面的機能を発揮するための助成金でありますが、主食用米の需給安定のためということになると思います。
そのうえで具体的には31年産主食用米の全体の生産量をどう設定するのかが問題になります。11月の食糧部会に示されますが、その際、米の消費量は減少が続いていますから、それをどのくらい下がるかと見込むか、同時に消費をどう増やしていくかも大きなポイントになると思います。
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