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【座談会・今年の動向を振り返る】日本の農業協同組合の活力ある内発的発展へ(4)2018年12月28日

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【座談会 出席者】
・全国農協中央会副会長 金原 壽秀 氏
・新世紀JA研究会特別相談役 名誉代表 萬代 宣雄 氏
・参議院議員(自民党参議院幹事長) 吉田 博美 氏
・司会=東京農業大学名誉教授 白石 正彦 氏

◆汗をかいた人を支援

参議院議員(自民党参議院幹事長) 吉田 博美 氏 吉田 中国の1%の金持ちが日本の10%に相当します。地元の松川(長野県松川町)でとれるリンゴの「ふじ」を食べたら、中国のリンゴは食べられません。正直に言って自給率38%を引き上げるのは厳しいところがあります。中国がTPPに入るとますます大変なことになります。真剣に考えないと。
 「安全・安心」で美味しいのが日本の農産物です。これに「安定」が加わると、日本の農業はよくなります。「マルキン」のような制度も一つひとつ、政治の力で広げていきたい。要は汗をかいた人が報われるようにするのが政治です。

(写真)参議院議員(自民党参議院幹事長) 吉田 博美 氏

 

 白石 自給率38%の日本は、国内で供給可能な水資源の10倍以上の量を国外に依存し輸出国の農地の劣化を引き起こしており、地球全体の視野でコストを考えるべきです。アメリカでは国の価格規制で農業者のトウモロコシを農協でエタノール加工し、一方でバイオ燃料含量85%の農協のガソリンスタンドがあり、規制と規制緩和をうまく組み合わせた地域循環の好事例もみられます。

 

 金原 主要農作物種子法の廃止も問題です。なんとか主要な作物の種子は守っていかなければならない。今日、農家の使う野菜のほとんどがF1品種で、毎年種子を購入しなければなりません。値段もすでに高くなっています。またその原種は外国のものです。米をはじめ主要農作物の種子がそうなったらとんでもないことです。

 

 萬代 本来農業を守るべき農水省にその気がないのなら、われわれが農業の防波堤にならなければならない。種子法のことなど、国会議員の先生方は、よく分かっていないようにも感じますが。

 

 吉田 農協改革のことで心配した政府の高官が相談に来たことがあり、「参議院が反対しているようですね」と言ったので、「私が抵抗勢力だ」と言ったら黙ってしまった。みんないい子になってしまったようですが、それが言えるかどうかが重要です。

 

 白石 本日は中山間や都市近郊の農村や農業と暮らしの中での内発的改革や自然災害の復興などに率先して取り組んでいる農協の姿や、その組合員、役職員の姿が浮き彫りになり、政府の政策とのギャップの大きさに皆さんは強く危惧されている点が印象的です。この危惧をバネに、農協運動発展への舵取りを期待します。ありがとうございました。

 

【座談会を終えて】

(司会)白石正彦・東京農業大学名誉教授 座談会を通じて、来年3月の全国農協大会に向けて農協の組合員・役職員が"協同組合人"としての誇りを喚起しながら、各現場から"小さな改革運動"を積み重ねることで、正組合員と准組合員を結集している総合農協の強みを伸ばし、農業者所得の増大や心豊かなくらし、地域社会づくりに持続的に貢献でき、さらに広範な市民、国会議員、産業界にも共感の輪を広げることができます。この舵取りを担うJAグループのうち、特に全国組織のリーダーシップの大きさを痛感しました。 (白石)

 

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