農産物輸出の方策探る 沖縄で新世紀JA研究会セミナー2015年10月23日
全国のJAの常勤役員や幹部職員の研鑚と情報交換を目的とする新世紀JA研究会(代表=藤尾東泉・岩手県JAいわて中央組合長)は、22、23日沖縄県JAおきなわで第19回セミナーを開き、農産物輸出の可能性について意見交換した。特に沖縄は東南アジアに近く、輸出の中継地としての機能を強めており、行政とJAの連携した取り組みが関心を集めた。
セミナーではJAおきなわの普天間朝重専務がJAおきなわの農産物輸出の取組みを報告。同JAは平成22年JAおきなわ大会で農産物輸出の拡大を決議。特に県産の農畜産物の中国・香港市場への売り込みに力を入れている。現在、同県の農産物輸出額は、紅芋やシークヮ―シャー、タンカンなどの加工品(ジュース)を中心に、1000万円前後。
実績を伸ばし切れない理由の一つに生産(供給)の不安定さがある。台風の影響もあるが、安定した取引きができず、結局、過剰在庫に悩まされている。
普天間専務は「過剰在庫を発生させないため輸出の道を開いておきたい。このためには長期的な安定供給体制が必要」という。このため3年契約の加工原料買い取りを始めた。
次いで株式会社・食のかけはしカンパニーの篠原辰明・代表取締役が報告。同社は全く新しい海外市場として、イスラムの教義に則り、食生活に厳しい制限(ハラール)があるイスラム圏を挙げる。同社は今年、インドネシアなど東南アジアのイスラム国を視野に入れ、沖縄のうるま市経済特区へ加工場を建設した。
沖縄は「東アジアのゲートウエイ、物流ハブという地の利があり、物流にハラールの付加価値を加えると大きなものになる」と、沖縄の地理的優位性を強調する。
一方、沖縄県も積極的に農産物輸出に力を入れており、同県商工労働部の下地明和部長が国際物流拠点(ハブ空港)としての機能を紹介。那覇空港から4、5時間圏内のアジア諸国の人口は20億人に達し、空港の貨物取扱量はこの5年で100倍、成田・関空に次ぐ規模になったという。「生鮮ものが、国内と変わらない時間で東南アジアに届けることができる那覇を拠点にそのためのシステムができており、積極的に利用を」と、日本(本土)の産地へ呼び掛けた。
このほか、農水省食料産業局輸出促進グループの近藤信課長補佐、株式会社沖縄県物産公社海外事業部の金城辰三部長が、それぞれの農産物輸出への取り組みを報告。白石正彦・東京農業大学名誉教授が、農産物輸出における協同組合・JAの役割について総括的にまとめた。
なおセミナーは最後に、大会アピールを採択。(1)TPP(環太平洋連携協定)大筋合意内容の検証と対策、(2)農業の国際化を見据えた農業政策の確立とJA改革、(3)JAの准組合員利用規制回避に向けた対抗の強化ーなどを訴えた。
(写真)沖縄で農産物輸出の可能性を検討した研究会
(関連記事)
・飼料用米の法制化を 新世紀JA研が要請 (2015.09.14)
・未来を開く1県1JA 島根で新世紀JA研究会 (2015.08.07)
重要な記事
最新の記事
-
特集 第30回JA全国大会に向けて 「持続可能な社会をめざして 協同組合が地球を救う」2024年9月2日
-
農のある豊かな社会を(1)神奈川県JAはだの組合長 宮永均氏【未来視座 JAトップインタビュー】2024年9月2日
-
農のある豊かな社会を(2)神奈川県JAはだの組合長 宮永均氏【未来視座 JAトップインタビュー】2024年9月2日
-
「平年並み」31都府県、「やや良」11道府県 24年産水稲 8月15日現在2024年9月2日
-
【役員人事】住友化学(10月1日付)2024年9月2日
-
全国の酪農つなぐ双方向ネット 乳業初明治が経営改善サイト サステナブル酪農を後押し2024年9月2日
-
倉敷市をはじめ県内12市10町2村に農業生産資材高騰で支援要請 JA晴れの国岡山2024年9月2日
-
洋食屋の味わい「コクと旨みのデミグラスソースハンバーグ」新発売 パルシステム2024年9月2日
-
宝ホールディングスとの協業強化へ 第三者割当増資を実施 日本果汁2024年9月2日
-
ジョンズ・ホプキンス大学で学びたい研究者を募集 村上農園2024年9月2日
-
「北海道の酒米を語ろう2024」開催 酒蔵や酒販店等を対象に意見交換会と交流会2024年9月2日
-
こめ油と米粉使用「もっちり米粉のミニメロンパン」新発売 築野食品2024年9月2日
-
助成総額400万円「市民活動支援金」応募受付中 パルシステム埼玉2024年9月2日
-
集中豪雨時もハンドル式水門をスマホで開閉「アクアドライブ」開発 farmo2024年9月2日
-
埼玉県「令和6年度埼玉県農商工連携フェア」出展者を募集2024年9月2日
-
広島県「芸北トマト」使用 限定ハンバーガー発売 モスバーガー2024年9月2日
-
外食市場調査7月度 市場規模は2915億円 外食単価2か月連続で伸びが鈍化2024年9月2日
-
プラントベースフード 「米粉由来のもちもち食感シュレッド」新発売 雪印メグミルク2024年9月2日
-
「天てん穂すいのサクナヒメ」コラボ「米は力だキャンペーン」実施 JAグループ2024年9月2日
-
JA全農×フジテレビ×イー・ロジット 愛媛県産温州みかん使用「みかんグミ同盟」発売2024年9月2日