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「ごはん・お米とわたし」作文・図画コン受賞者決定 JA全中2017年12月12日

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 JA全中は12月11日、第42回「ごはん・お米とわたし」作文・図画コンクールの各賞受賞者を発表した。

 このコンクールはJAグループが推進する「みんなのよい食プロジェクト」の一環として実施し今年で42回を迎えた。これからの食・農・地域を担う子どもたちに、ごはん・お米についてはもちろん、国土を豊かに作りあげてきた稲作をはじめとする農業についての学びを深めてもらい、その重要性を広く周知することを目的としている。
 今回の応募点数は作文部門5万4115点、図画部門7万2539点だった。11月28日、29日に全国審査会(審査委員長=中村靖彦氏・東京農大客員教授、農政ジャーナリスト)を開催し、内閣総理大臣賞(2名)、文部科学大臣賞(6名)、農林水産大臣賞(6名)、全国農業協同組合中央会会長賞(6名)ほかを決定した。
 表彰式は平成30年1月13日(土)13時に東京都内で開かれる。
 内閣総理大臣賞・作文の部は奈良県・奈良女子大学付属中学校2年の吉中涼さん(※吉は異体字)の「助け合い」。吉中さんが暮らす地区は田植えのときには、上流の田が優先的に水を使えるしきたりがある。また、限られた水を引くときは助け合いをしている。その助け合いを部活動や稲作とも結びつけて表現した。
 図画の部は三重県・鈴鹿市立白子中学校3年の加藤ひろなさんの「めっちゃおいしいね!」。遠足での昼食を画いたこの作品、「構図も彩色も完璧で心打たれる作品」(審査評)、選出にあたって審査員全員をうならせたという。

 

【内閣総理大臣賞】

(作文)
○吉中涼(※吉は異体字)・奈良女子大付属中等教育学校2年(奈良県)「助け合い」

(図画)
○加藤ひろな・鈴鹿市立白子中学校3年(三重県)「めっちゃおいしいね!」

 

【文部科学大臣賞】

(作文)
○亀谷仁・三次市立三和小学校3年(広島県)「発見したよ」
○雨宮龍ノ介・筑波大付属小学校5年(東京都)「どこで作られたお米?」
○真崎杏奈・桜川市立大和中学校3年(茨城県)「祖父の思いを受け継いで」

(図画)
○井上花帆・尾花沢市立尾花沢小学校3年(山形県)「うちのごはん」
○毛利有寿・高松市立一宮小学校6年(香川県)「一粒一粒 慎重に」
○佐々木佑季・深谷市立深谷中学校3年(埼玉県)「掛け干し」

 

【農林水産大臣賞】

(作文)
○霜出廉心・飛騨市立神岡小学校1年(岐阜県)「ぼくのだいじなたべもの」
○菅こはね・今治市立大西小学校5年(愛媛県)「みんなで作るお米」
○仲本愛・学校法人旭進学園宮崎第一中学高等学校2年(宮崎県)「国境を越えた一粒」

(図画)
○大石琉煌・佐賀市立神野小学校2年(佐賀県)「田んぼをたがやすトラクター」
○高橋里緒(※高は異体字)・尾道市立長江小学校6年(広島県)「壬生の花田植」
○野中咲希・佐賀県立武雄青陵中学校3年(佐賀県)「田植えびより」

 

【全国農業協同組合中央会会長賞】

(作文)
○早坂佑羽・大蔵村立大蔵小学校2年(山形県)「かぞくのチームワーク」
○松尾日与莉・南島原市立口之津小学校4年(長崎県)「おいしいお米を食べてもらいたい」
○水石萌菜・八戸市立大館中学校3年(青森県)「感謝の『いただきます』」

(図画)
○近藤命輝・佐渡市立沢根小学校3年(新潟県)「おいしいおもちができるよ」
○松永耀斗・佐賀市立巨勢小学校5年(佐賀県)「家族で田植え」
○島陰紗綾・涌谷町立涌谷中学校3年(宮城県)「田植え」

 

◎内閣総理大臣賞・作文部門受賞作品「助け合い」

奈良県 奈良女子大学付属中等教育学校2年 吉中涼(※吉は異体字)


 ようやく土用干しを終え、父とアゼを歩いていると、カサカサと足元の枯れ草が乾いた音をたてました。二十日間以上雨が続いたという東京とは対照的に、僕達の住む桜井は深刻な雨不足です。季節はずれの枯れ草が目につきます。僕の家の周辺には水路に沿って田が並んでいますが、その水路に茶色の藻ばかりが流れる日が続きました。田の底にひび割れが出来始めた頃、水不足を解消するため、父と水路の様子を見に行きました。すると、五百メートル程上流に、水をせき止め、横の支流に流しているセキがありました。水不足の原因は、雨不足だけでは無かったのです。
 この地域では八十年以上前から、田植えの時は上流の田が優先的に水を使えるしきたりだそうです。下流に行けば行く程、水はあまり流れて来ないことになります。しかし、穂が実り出す頃になるとその優先権は無くなり、止めてあるセキから自由に水を流すことが出来ると父から聞きました。それを聞いて、僕は少し違和感を覚えました。確かに水不足は困りますが、水の流れが変われば上流の田も困るはずです。今回の様な、水不足の時は尚更です。結局、僕達は大人の腰程の高さの板で止めてあるセキを、ほんの数センチメートルだけ下げて帰りました。上流の田に迷惑をかけないためには、それ以上下げられませんでした。わずかな水がゆっくりと流れ出しましたが、僕達の田に届いてくれる程の水量とは思えませんでした。
 父は仕事の都合上、夜しか水の管理が出来ません。水不足も重なって、無事に収穫出来るのか不安でした。しかし数日後、僕達の田にきれいな水が流れ込んでいました。あわてて父に聞くと、近所の農家の方達が昼間に、一キロメートル程上流に行き、川に石でセキを作り、水路に水を引いてくれたおかげだと言うのです。しかも、限られた水を自分達の田だけに入れるのではなく、僕達にも分けてくれました。この行動に、僕は近所の農家の方達の誇りを感じました。
 僕は今、中学校の野球部に所属しています。野球に限らず、団体競技ではよく「助け合い」という言葉が使われます。僕は、稲作も団体競技だと思います。田の面積や年齢はそれぞれ違いますが、地域という大きなチームの中で助け合えば、よりよい結果につながるはずです。祖父は亡くなる前、父に病室で、
「仕事忙がしいから、当分は米作り休んだらええよ。」
と言っていました。伊勢湾台風の年でさえ、米を収穫した祖父が、休めと言うのです。かなり環境が悪かったのでしょう。父も休むつもりで田を耕していませんでしたが、助けてくれたのはやはり地域の方でした。何と、いつの間にか僕達の田を耕してくれたのです。まるで自分の田の様に、ていねいに耕された田は、僕達の稲作を助けてくれました。
 僕達の稲作ももうすぐ三年目です。次は僕達が地域の方達を助ける番です。僕はまだ出来る事が少ないけど、父と共に地域の一員として頑張ろうと思います。地域の方達が助けてくれるのは、優しさと共に、僕達に祖父の稲作だけでなく、助け合う地域の稲作の継承を期待してくれているからではないかと考えます。僕は、桜井に住んでいて良かったと思います。
 来年以降、まだまだ不安はありますが、祖父のためにも、これまで助けてくれた地域の方達のためにも、稲作に励みます。地域という大きなチームの中で、助け合いながら、僕達は稲作を継承していきます。

 

図画部門で内閣総理大臣賞を受賞した三重県鈴鹿市立白子中学校3年加藤ひろなさんの作品「めっちゃおいしいね!」
 
「めっちゃおいしいね!」
内閣総理大臣賞・図画部門
三重県 鈴鹿市立白子中学校3年 加藤ひろな


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