中堅職員が自由に討論 JCAが協同組合交流セミナー2018年10月10日
・コミュニケーション強化を
JCA(日本協同組合連携機構)は10月4日、千葉市にあるJA共済幕張研修センターで、2018年度協同組合・協同会社職員交流セミナーを開いた。「持続可能な地域のよりよいくらしと仕事づくりをめざして」のテーマで、JAや生協、労協、漁協および関連会社の中堅職員が2日間、グループに分かれて徹底討論した。
このセミナーは、参加者同士のグループ討議、情報交換を通じてネットワークづくりを進めるとともに相互の連携を深め、協同組合としての問題意識を共有しようというもので、毎年開いている。基調講演では関西大学の杉本貴志教授が、協同組合としてできること、期待されていることについて述べた。
同教授は、19世紀の始め、イギリスで協同組合組織をつくったロバート・オウエンの「人間の本質は"競争"ではなく"協同"である。競争が貧者も富者もだめにする」という指摘を紹介。今日の市場競争の問題点を指摘するとともに、営利企業と協同組合の違いを、小売りや共済(保険)など、具体的に例を挙げて説明した。
その上でイギリスのロッチデール協同組合(1844年)の目指した市場原理の経済ではなく、協同組合による新たなコミュニティ経済をつくることの価値を指摘。そのためには「異種協同組合が手を組んで環境保全、雇用、食の安全の確保など、コミュニティを守るべき時代にきた」と述べた。
日本での異種協同組合の連携については、JCAの横溝大介主任研究員が講演。JCAは、協同組合間の交流と連携を強めることで、地域において果たす役割・機能、つまり共通の価値を自ら広げようようということで、2018年4月に設立。目的は「持続可能な地域のよりよい暮らし・仕事づくり」とうたっている。
形は違っても、連携組織は全国44県(JCA調査)にあり、467組織の会員を持つ。特に2010年代から増えており、子どもの居場所づくり、魚を増やす植樹運動、高齢者支援、福島県における土壌クリーニング・プロジェクト、フードバンク埼玉など、協同組合間連携の例を紹介した。
実践事例では、1970年代から生協との交流・連携を行っている山形県のJA庄内みどり遊佐支店の那須耕司次長が、特に生活クラブ生協との「協同開発米」を中心に、その取り組みを報告した。2013年には生活クラブ生協、遊佐町、JA庄内みどりの三者で「地域農業と日本の食料を守り、持続可能な地域を発展させる共同宣言」を締結。宣言にあわせ三者で農業振興、まちづくり、環境の3つの部会をつくった。「こうした取り組みが広がることで社会が変わるのではないか」と那須次長は問題提起した。
また佐賀県協同組合女性連絡協議会の桑原廣子会長が、30回を迎えた「水と環境を守ろう!協同組合女性のつどい」について、日本労働者協同組合センター事業団中四国事業本部さんいんみらい事業所の大谷信一所長が同事業所の自立支援事業について報告した。
グループ討議の報告とディスカッションでは、協同組合をどう伝えるかが指摘され、JAの共済担当の職員から「自分の仕事を知人にどう説明しているか」という質問や「協同組合同士が協力した広報を」、「もし共済がなかったら、の説明書がほしい」などの報告があった。このほか「たまたまグループで一緒になって知ったが、隣の農協でも、お互いのことを知らない」などの自省の声もあった。
(写真)グループ討議の結果を報告をする参加者
(関連記事)
・【リレー談話室・JAの現場から】命を守る協同組合運動(18.09.15)
・JA静岡経済連とパルシステム静岡が食材宅配事業で協業(18.08.22)
・協同組合の文化への役割を明確に JCAが研究会(18.07.09)
・小さな連携づくり支援 協同で住み良い社会を【インタビュー勝又博三・JCA代表理事専務】(18.04.27)
重要な記事
最新の記事
-
【特殊報】チュウゴクアミガサハゴロモ 県内で初めて確認 埼玉県2024年11月5日
-
【特殊報】二ホンナシに「ニホンナシハモグリダニ」県内で初めて確認 佐賀県2024年11月5日
-
【注意報】トマトに「トマト黄化葉巻病」 県内全域で多発のおそれ 愛知県2024年11月5日
-
肥料費 28%増 米生産費 8年ぶりに10a13万円台 23年産米2024年11月5日
-
9割方が成約したクリスタルの取引会【熊野孝文・米マーケット情報】2024年11月5日
-
愛媛で豚熱 国内94例目 四国で初2024年11月5日
-
「ちんたいグランプリ2024」で準グランプリ受賞 ジェイエーアメニティーハウス2024年11月5日
-
生産量日本一 茨城県産「れんこん」30日まで期間限定で販売中 JAタウン2024年11月5日
-
「秋のまるごと豊橋フェア」7日から全農直営飲食店舗で開催 JA全農2024年11月5日
-
SAXES乾燥機・光選別機向けキャンペーンを実施 分析サービス「コメドック」無料お試しも サタケ2024年11月5日
-
中古農機具の買取販売専門店「農機具王」決算セール開催中 リンク2024年11月5日
-
ニッポン全国めん遊記「冬・年越しそばを噛みしめて」160人にプレゼント 全乾麺2024年11月5日
-
【人事異動】J-オイルミルズ(11月1日付)2024年11月5日
-
「起農みらい塾」食のイベント会場で学びの成果を披露 JAグループ広島2024年11月5日
-
グループの特例子会社2社を合併 クボタ2024年11月5日
-
病害虫対策を支援 農業向けアプリ「FAAM」をアップデート 11月中旬に配信2024年11月5日
-
乳の価値再発見「ジャパンミルクコングレス」最新のミルク研究を発表 Jミルク2024年11月5日
-
日本酒を鍋料理と合わせて楽しむ「鍋&SAKE」キャンペーン実施 日本酒造組合中央会2024年11月5日
-
宅配インフラ活用 家に居ながらフードドライブに協力 パルシステム千葉2024年11月5日
-
草刈りは手放しで AI+自律走行「MAIRAVO」コンセプト機発表 オカネツ工業2024年11月5日