JAの活動:新世紀JA研究会 課題別セミナー
新しい全中の役割確認 難題山積 司令塔機能を2017年7月21日
外部人材活用し発想転換
新世紀JA研究会は6月26日に開いた第9回「新総合JAビジョン確立のための危機突破・課題別セミナーで、中央会のあり方について討議しました。一般社団法人となるJA全中に、単位JAは何を望むか。3JAの組合長が意見を述べた(JAしまねは前回=7月10日付=で報告)。今回は福島県JAふくしま未来の菅野孝志代表理事組合長、茨城県JA水戸の八木岡努代表理事組合長の報告を要約して掲載します。
一般社団法人になってJA全中の組織形態は変っても、われわれがやらなければならないことは何も変わりません。ただ、JAやJAの全国組織はどうあるべきかについては、ほとんど議論されていません。
いまJAに求められることは、世界のなかで日本のJAがやるべきことを、われわれは本当に訴えてきたか、考えるべきです。われわれがやるべきことは、国連のSDGs(2030年に向けた持続可能な開発目標)の17の項目に全て網羅されています。人口の増加、環境破壊、飢えと、世界は危機的状態にあります。日本からも積極的に発信しなければなりません。
経済界もSDGsが大事だと言っています。しかし、かれらは利益のために考えますが、協同組合は、それらを相互につなげて方向付けをする役割があります。600余りのJAがそれを担わなければなりません。農協法がそうであってもなくても、変わらないものです。これを大上段に構えて運動できるかどうかがポイントです。すると「農協は凄い。それをリードしているのは全中だ」と、信頼されます。この10年、その基盤をJAはつくってきました。その結集軸として全中を考えるべきだと考えます。
全中の教育事業はいくら状況が変わっても一貫して続けなければなりません。コミュニケーションは協同組合の基本です、将来のJAの人材を育てるための教育事業の中核であるべきです。
(写真)菅野孝志・JAふくしま未来代表理事組合長
◆ ◇
この6月に三重県のJA伊勢で開いた新世紀JA研究会の大会アピールでも全中への要望を掲げました。司令塔としての機能を果たすことを第一に挙げました。JA改革で、いま何が問題か。この危機突破<CODE NUM=00A5>課題別セミナーでよく分かったと思います。しかし、種子法の廃止でもそうですが、分かってはいても、それ以上議論が深まらないというのが現状です。JA改革も同じではないでしょうか。
JA全中は、現場と県レベルの認識をしっかり把握していただきたい。そして一般企業とイコールフッティングというのなら、JAには一層のきめ細かいコンサルタントが必要です。JAの実情、本来の機能をきちんと理解し、地域の特性を考えることのできるコンサルが求められます。特にIT(情報技術)の活用など、さまざまなシステムが導入されていますが、これを整理して、JAカードやポイント制度の効率的な運用を考えていただきたい。
種子法廃止、卸売市場法・土地関連法の改正など、なにが問題かを国民に示す必要があります。そのためには教育広報活動が大事です。地域の声を聞くだけではなく、地域の人に協同活動の大切さを訴えることは、特に職員レベルでもますます大切な活動になります。
(写真)八木岡努・JA水戸代表理事組合長
【意見交換】
【発言者(敬称略/比嘉=JA全中専務・比嘉政浩、福間=新世紀JA研究会常任幹事・福間莞爾、萬代=JAしまね前組合長・萬代宣雄)】
◆農政運動のあり方も
●比嘉 全中の役割はナショナルセンターとしての機能を果たすべきだと、明快に言っていただけることは大きなことだと思います。JA監査法人については、この7月に「みのり監査法人」をスタートさせ、全中から新しい監査法人に出向することになります。業務を始めるのは平成31年からですが、それまでは、JAの不安を招かないよう、出向職員が帯同して業務を行ないます。
全中は全国機関連携の要になるようにとの声がありました。これは構造的に挑戦しないと無理かなと思っています。賦課金をみても、県中に比べ、全中は全国機関に片寄っている面もあります。JAを代表する組織だというのなら、その負担割合の変更に挑戦する必要もあると思っています。また農政運動に関しては、全中はJAの代表で、農民の代表は農政連というのが、筋が通ると考えますが、そうではないという意見もあり、整理できていません。
●福間 中央会は経営、教育、広報を事業として行なっています。この事業は国の制度として与えられたものでした。全中がこれからJAグループの司令塔になれるかどうかは経営・教育・広報の事業を再編強化できるかどうかです。これは全中だけなく、JAグループ全体の問題でもあります。
●比嘉 他の全国連との再編を考える必要があるとの指摘ですが、役職員や組合員からこうした要望が出てくれば再編を考えるべきでしょうが、それは大変重い問題です。
●萬代 全中だけの話ではありません。准組合員が「農協がなくては地域が持たない」と言うか、言わないかが問題です。そのことを全中が広報で徹底してやらなければならず、その指導をきちんとやっていただきたい。
農協の経営は甘いと思います。組合長は会社では社長です。零細企業なら社長は家屋敷を担保に金を借りることもありますが、その厳しさは感じられません。それでは新しい発想は出にくいでしょう。外部からでも人材を連れて来ないと、新しい発想は出ません。そうしたことを全中がリードしていただきたい。
※このページは新世紀JA研究会の責任で編集しています。
新世紀JA研究会のこれまでの活動をテーマごとにまとめています。ぜひご覧下さい。
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