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担い手の不足に対応 出資型農業法人の確立へ【農水省経営局審議官 山北 幸泰氏】2017年9月29日

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 少子高齢化や競争第一の農業政策等で農業経営の確立・担い手の育成は、ますます困難になってきています。一方で、こうした状況を反映し、農業経営は法人経営の割合が増えています。JAによる農業振興方策も、従来型の営農指導に加え、JAのヒト・モノ・カネ・情報等の経営資源を活用したJAによる直接農業経営(JA出資型法人を含む)への取り組みの重要性が高まっています。それは、成熟・停滞社会におけるソーシャルエンタープライズ(社会的企業)たるJAの農業振興への社会的使命・役割発揮への新しい姿でもあります。そこで、これまでの取り組み実態を踏まえ、JAの直接農業経営によるさまざまな農業振興への効果((1)後継者・新規就農者の育成、(2)営農指導技術の習得、(3)新規導入作目・農法の開発・実験、(4)バリューチェーンの構築、(5)不耕作地の管理・活用、(6)雇用の確保等)を検証します。(今回は第11回セミナーにおける農水省の山北幸泰審議官、JA全中の馬場利彦参事、福島県JA東西しらかわの鈴木昭雄前組合長の報告を紹介します)

◆農地中間保有から

山北幸泰・農水省経営局審議官 農協による農業経営についての認識を述べていきます。本来、農協はその行う事業によって組合員に最大の奉仕をすることを目的とします。従って、農協が直接農業経営を行うことは組合員との利害相反となりかねず、予定してこなかったことといって良いと思います。
 しかし、農村をめぐる環境変化の中で、農協が生産段階にかかわる必要が出てきて、昭和45年には農協による農家の受託農業経営が認められることになりました。農家は農協に経営を委託し、農協が受託するというものです。しかし、これはあくまでも受委託の関係であり、最終の損益の帰属は委託者たる農家にありました。
 その後、平成5年の農地保有合理化法人の仕組みの中で、法人が農地を借りる、または買って貸す、または売るまでの過渡的措置として、中間保有する農地を研修用やつなぎ経営ができる事業として農協の農業経営が位置付けられたという経緯があります。
 これらの措置はあくまで過渡的措置でしたが、21年の農協法改正で、「当該組合の地区内にある農地または採草放牧地のうち、当該農地または採草放牧地の保有および利用の現況および将来の見通しからみて、当該農地または採草放牧地の農業上の利用の増進を図るためには、組合が自ら農業の経営を行うことが相当と認められるものについて」農協が農業の経営を行うことができるとされました。
 また、平成23年の農協・連合会・農事組合法人向けの総合的な監督指針では、農協が行う農業経営事業について、その意義として、「担い手が不足する農地等が増加する中で、組合自らが組合員のニーズに基づき組合員の営農活動と競合しない範囲で担い手が不足する農地等において、農協が農業経営を行い地域農業の維持を図っていくことが求められている」とし、さらに連合会において農業経営が行えるとされたのは、「畜産の分野等において農業経営が専門化、大規模化していること等から、農協では当該経営を適切に行うのは困難であり、連合会が対応した方が事業を円滑に実施できる場合も考えられる」からとしています。

(写真)山北幸泰・農水省経営局審議官

 

◆農家と十分協議を

 さらに、農協による農業経営についての着眼点として、事業開始にあたって、組合員にその趣旨、事業を行う地区、作目等の内容の周知徹底、組合内部での十分な意見調整などが強調されています。
 JAによる農業経営はJA出資型法人が一番多く、574(平成28年度)あり、この20年間で15倍以上伸びています。次にJA出資法人(農地所有適格法人)が396あり、JAによる直接経営は46とそれほど多くはありません。
 また、各地の取り組み事例はたくさんありますが、ここでは3つの法人の例を挙げておきます。
 (1)遊休農地を活用した農業経営(北つくば農協・茨城県)▽概要=耕作放棄地や引き受け手のない農地の活用、農協が設立した子会社での経営、▽成功のポイント=消費者・実需者ニーズに合わせた品種の多収性の実証、獣害対策、農地の貸し出し希望者と担い手のマッチング、農協出資法人への経営の移行
 (2)農業経営による栽培実証を通じた組合員の栽培技術の向上とロットの確保(阿波みよし農協・徳島県)▽概要=標高差を活かしたブロッコリーの産地化、カットネギの取り組み、地域に合った栽培技術や品種の実証・栽培体系の確立、確立された栽培技術等の組合員への普及、▽成功のポイント=地域に適した栽培体系の確立、農協自らが行う農業経営を通じた産地化の実現、農地の出し手の協力による引き受け農地の連担化、専属部署の設置
 (3)農協出資法人による農業経営(会津よつば農協・福島県)▽概要=農協と行政の一体支援、出資法人への農作業委託と軽減された労働力での収益性の高い農産物の生産、▽成功のポイント=話し合いを通じた今後の集落の担い手の決定、農協・県・町村が一体となった支援、収益性の高いカスミソウ栽培と所得の向上、「奥会津金山赤カボチャ」等の特産品の生産・加工と付加価値の向上、冬期の加工作業・学校給食事業の受託による経営安定と雇用の確保。
 次に、これらの取り組み事例等を踏まえた農協による農業経営実施にあたっての検討の視点については、次のようなことが考えられます。(1)農業経営の目的は何か(自ら生産基盤の維持、つなぎ経営、モデル経営、新規就農者の研修、コントラクター)、(2)どこで経営するか、(3)誰が経営するか(直営化子会社か、実質的な責任者は誰か)、(4)目的に応じた損益管理(投資をどうするか、実質的な支援の有無、コスト管理)、(5)組合員、地域との協議

 

◆居抜きに備え力を

 いずれにしても農協の農業経営は、地域の合意を取り付けなければできませんし、一方で、担い手不在の農村において資本や人材を用意できるのは農協しかありませんので、持てる力を発揮して取り組んでもらいたいと思います。最近では、地域の有力な担い手が何らかの事情で経営ができなくなるケースもあり、そのようなときに居抜きで農協が変わってこれを担うという場合に備えるためにも、農協が農業経営について実力をつけておくことが必要になっています。
 農業法人に対する優遇措置としては、資金の借り入れ、資本の強化、人材の雇用等についてスーパーL資金、経営体育成強化資金、農業改良資金、農業近代化資金、農業法人投資育成制度、新規就農・経営承継総合支援事業等があり、さらに農業経営法人化等の促進事業として、平成30年度農水予算63億3800万円の概算要求を行っています。

※このページは新世紀JA研究会の責任で編集しています。

 

新世紀JA研究会のこれまでの活動をテーマごとにまとめていますぜひご覧下さい。

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