JAの活動:新世紀JA研究会 課題別セミナー
【意見交換】商品一つを1円でも 小さな改革積み重ね2019年2月28日
【石橋・北海道JA浜中町組合長】
経済事業の改革は組合員の所得向上につなげることが使命です。そのため、やれることは何でもやってきました。購買品の仕入れで価格交渉は当たり前のこと。8項目の改革目標を定め、信用事業を除いてほかの事業はすべて取り組みました。
従って、JA浜中町では改革はとっくに終わっており、正直に言って何をいまさらという感じです。改革は言われたからではなく、常に組合員のために取り組むものだと考えています。経済事業改革は、結局のところ仕入れの問題です。
ホクレンからの仕入れたのでは、さっぽろ生協に勝てないことが分かり、仕入れ担当者が直接交渉するようにしました。仕入れ先の業者などから、「JAと交渉するときは腰を据えて掛かるように」と言われるようになりました。
【仲澤・山梨県JA梨北常務】
営農指導事業は購買の生産資材の利益で賄うのが本来の姿であり、それを目指しています。その中で購買手数料下げるようにしてきました。一方で全農からの仕入れは半分以下です。肥料、農薬の仕入れは全農も含め3社くらい比較し、安いところを選んでいます。まず全農ありきではありません。
生産者には、一つの商品でも、1円でも安く供給する心得でやっています。共済事業はJAの利益の60%位を占めていましたが、今は30%ほどになりましたが、それだけ経済事業の足腰がつよくなったことです。各職員が、常に仕事の一つひとつに疑問もって臨むようにと話しています。昨年と同じ稟議は突き返します。まだまだ経済事業の改革は進めていきます。
【八木岡・茨城県JA水戸組合長】
仕入れ含めて経済事業の見直しが必要だと思っています。JA水戸では商系と共同で農業資材店を出しました。いまはなくなりましたが、当初「魂を売るのか」などと批判がありました。組合員にどのように理解してもらうかが重要です。
【井上・監査法人トーマツ公認会計士】
基本的にはマスコミ取材はことわらないことです。ただで宣伝してくれるのですから。ここにこういう問題あるから仕入れ先を変えるのだというように問題の所在と目的を明確にして伝えるべきです。このためのパブリシティだと思います。
【大林・滋賀県JAグリーン近江常務】
懸命に営農経済事業改革やっていますが、トーマツさんの話のように、JAにはデータたくさんありますが活用できていないように思います。業務の縦割りのせいでしょうか。販売実績のある農家で購買の少ない組合員があります。そこへ足を運べば伸びるのですが、それがうまく生かされていません。
【萬代・前JAしまね組合長】
全農の資材が高いという声は聞いていますが、同じ価格なら全農を利用するべきではないか。協同組合の精神です。その感覚を持って全農自身も改革の努力が必要です。利用者も価格の比較だけでなく、もし全農がなくなったらどうなるか考えていただきたい。
こうした問題は全中の指導が必要です。農協、農業をどの方向に導くか、全中は、今まで以上に指導力を発揮して欲しい。農水省も全中の指導権限を剥奪した以上、食料自給率や農村・環境の維持など、政府としての責任があります。
【日向・農水省経営局協同組織課長】
指導権限は別にして、農協改革は上から下へ、ではなく、中央会が農協を支え、農協が農家を支えるように逆三角形にすることが重要です。中央会は農協から信頼が得られるように、農協は組合員から信頼されるようになってもらいたい。農協改革の本質はここにあります。
【白石・東京農大名誉教授】
経済事業改革をテーマにした今回のセミナーでは、危機意識を認識し、それを具体的に示し、〝見える化〟が必要だということが確認できたと思います。それには時間が掛かりますが、JA浜中町やJA梨北のように、自信を持って、小さな改革を積み上げて行くことが重要ではないでしょうか。
※このページ「紙上セミナー」は新世紀JA研究会の責任で編集しています。
新世紀JA研究会のこれまでの活動をテーマごとにまとめています。ぜひご覧下さい。
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