JAの活動:今さら聞けない営農情報
【今さら聞けない営農情報】第34回 ジビエ<2>2020年1月10日
(前号からのつづき)
ジビエをおいしく食べるためには、死んだその場で新鮮なうちに、血抜き、解体作業が必要なのですが、食品衛生法の決まりで、山野で解体したものは、食肉として流通できません。食肉として流通させるためには、法の基準に適合した衛生的な施設で解体する必要があります。
実際に狩猟で捕る場合は、山野で猟銃を放ち、山野で狩猟した個体を山野から離れた処理施設まで運ぶ必要があります。その時の労力を想像してみると、山道(獣道)から時に100kgを超える重たい個体を車が通れる道まで降ろすのが、まず重労働です。猟師も高齢化が進み、解体せずに個体を運ぶのがますます困難になっているとのことです。うまく運べたとしても、解体施設まで遠ければ、解体までに時間がかかり、肉の品質が落ちてしまいます。一方、生け捕りにする罠の場合は、鮮度が落ちる心配はありませんが、生きた、しかも暴れる個体を処理施設まで運ぶ労力が死亡した個体を運ぶよりもっと大変な労力がかかってしまいます。
そのような場合の対策としては、山の麓に処理施設を造るか、移動式解体車(日本ジビエ振興協会推奨)を地域に1台配置するといった方法がありますが、いずれの方法も1000万円単位の費用が掛かってしまいます。このため、鳥獣害対策・ジビエ振興の一環でJAや行政が一体となって費用を捻出し、施設の設置なり専用車の配置を進めることが不可欠になります。今後の取り組みの拡大に期待したいと思います。
ジビエをもっと身近にするには、まだまだ越えなければならないハードルが存在していますが、それを乗り越えるだけの価値がジビエにはあるようです。
日本ジビエ振興協会によると、ジビエ肉は、一般的な家畜肉(牛・豚・鳥)よりも栄養価が高いそうです。それは、家畜肉の場合、運動量が少なく育てられるため筋肉に脂肪が入りこみやすくなります。和牛などは、脂肪分(サシ)がきれいに入っている方が有難がられるのはご存じのとおりです。
これに対し野生の動物であるジビエは、運動量が家畜よりはるかに多く、筋肉が発達しています。
そのおかげで、筋肉には、脂肪分ではなく、鉄分やたんぱく質が多く含まれるようになります。
この栄養価の比較は、表のとおりで、ジビエ肉が家畜よりもヘルシーなお肉であることがわかります。百聞は一見にしかずです。お近くでジビエを提供するお店やイベント等を見つけたら、一度試してみてはいかがでしょうか?
本シリーズの一覧は以下のリンクからご覧いただけます。
【今さら聞けない営農情報】
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