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【TPP】小規模・兼業農家にも配慮を-自民会合で意見2015年11月12日

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 自民党の農林水産戦略調査会・農林部会合同会議は11月11日の会合でTPP対策のとりまとめに向けた議論を始めた。13日に骨子を提示、その後も議論を続け17日に党としての対策を決める予定だ。政府は25日に農業分野以外も含めた総合的なTPP関連政策大綱を決定する。

西川農林水産戦略調査会長(右)と小泉農林部会長 この日の会合で農林水産省は国内対策の項目を示した。
 TPP協定が発効すると、たとえば牛肉の関税は16年かけて38.5%から9%まで長期間かけて削減する。そのため対策は▽関税削減に耐えうる経営の確立-攻めの農林水産業に向けた体質強化と需要開拓、▽輸入急増・価格低下への不安への対応-経営安定のための備えの2本を柱にする。
 前者がいわゆる「攻め」にあたる政策で農業の競争力強化、輸出力強化対策を具体化する。後者が「守り」で、米国と豪州向けの米の特別輸入枠を設けたことから米の備蓄運営の見直しをはじめ、重要5品目を中心とした経営安定対策の充実・強化を図る。
 会合ではこれまでの議員からの意見や団体の要望、6日から8日まで地方キャラバンなどで出された意見を整理した。
 対策全般については▽これまでの対策の延長ではない対策を打ち出すべき、▽生産者が将来希望を持って取り組めるよう10年後、20年後の中長期的な対応を見据えたものとする必要がある、▽規模拡大した農家に対する支援も含め構造改革に資する対策が必要、▽今回の対策はスタートであり、これで終わりではないようにする必要があるなどの意見がある。
 また、財源については受益分野から財源を確保するなど恒久的な財源確保の仕組みや、経営安定対策などで新たに必要となる予算は現行の農林水産予算とは別枠で確保する必要があるなどの意見が出ている。
 この日の会合では米国やEUを参考にした経営所得安定対策や米国で導入されている乳価と飼料価格を連動させた所得保障制度などの検討や、原料原産地表示、土地改良事業など基盤整備事業の重要性、安価な輸入園芸作物に対抗するための都市農業地帯の直売所や学校給食の重要性などについて意見があった。
 また、国産農畜産物の流通体制にJAのネットワークづくりへの支援や、JAを対象にした地域農業振興のための自由度の交付金交付の検討などの必要性を指摘する声もあった。
 さらに議論で続出したのは小規模、兼業農家や持続的な家族経営への支援の必要性だ。「兼業農家も米づくりをしていかないと美しい農産漁村づくりにはならない」、「今までの議論は勝ち組にとってはいいかもしれないが産業色、競争力強化食が強い。国民の食料を守ってもらわなければいけない人たちが将来不安からやめてしまうかもしれない」と小規模農家や条件不利地帯の農業者を視野に入れた対策の重要性が強調された。
 会合後、小泉進次郎農林部会長は「キーワードは多様性だろう。さまざまな農業のあり方があるから、彩り豊かな日本の農業をつくっていくことも大切なこと。大規模一色の日本農業のあり方、それは私も違うと思う」と話した。
 西川公也調査会長は「小規模農家も大切。中山間地の農業も大切で条件不利地域だから今まで以上に対応していく。一方で平場で競争力があるところはおおいに成長産業になるという踏み出しをやってもらえるような対策としていきたいと思っている」との考えを示した。
 また、原料原産地表示について西川氏は「しっかりやりたいと思うが、いくつも食材を使っているものはなかなか表示しにくい。そこをどういう表示をするか、これをわれわれはしっかりやっていきたいと思う」「できる限り、表示を今まで以上に細かくしていただければ、と考えていきたい」と外食・中食を含めて加工食品の原料原産地表示拡大に意欲を示した。
(写真)会合後、記者団の質問に答える西川農林水産戦略調査会長(右)と小泉農林部会長

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