水田活用交付金300億円増額2015年12月24日
28年度農林水産予算案
政府は12月24日の臨時閣議で28年度予算概算案を決定した。農林水産予算は2兆3091円。27年度当初予算額(2兆3090億円)となった。
公共事業費は6761億円(対前年度比102.6%)で非公共事業は1兆6330億円とした。
公共事業のうち農業農村整備事業は2962億円(同107.6%)のほか、農山漁村地域整備交付金1067億円のうちの735億円、農地中間管理事業にともなう区画拡大や暗渠排水などを行う農地耕作条件改善事業として123億円を確保しており、全体では3820億円となる。27年度補正予算では農業農村整備に990億円を計上している。
重点事項のうち水田活用の直接支払交付金は、308億円増額し3078億円とした。27年産米で主食用の作付け面積は初めて過剰作付けを解消したが、28年産でも主食用から転換し、飼料用米、麦、大豆等の戦略作物の本作化をさらに進めるため増額して確保する。畑作物(麦、大豆、てん菜、でん粉原料用ばれいしょ等)の直接支払交付金(ゲタ対策)は1948億円(27年度2072億円)。米、麦、大豆等の収入が標準的収入を下回った場合に9割補てんする収入減少影響緩和対策(生産者1、国3で拠出)は754億円(同802億円)とした。
産地が自主的に米を長期間、安定的に販売したり輸出など他用途向け販売に取り組むことで、国内主食用米の需給を改善させることを支援する米穀周年供給・需要拡大支援事業は28年度も前年度と同額の50億円を確保する。
農地中間管理機構による農地の集積・集約化には81億円(同190億円)。28年度は各都道府県に残っている基金から充当して事業を行い、不足が見込まれる分を措置する。農水省によると26年度末の基金残高は598億円。27年度は農地中間管理機構による農地の流動化は26年度の3倍ほどの8万ha程度でそれにともなって基金残高は410億円程度となる見込みだという。28年度はこれを活用して事業を進めるが県の取り組みに応じて予算を確保する。
担い手の育成・確保策では農業経営の法人化・集落営農の組織化の取り組みを支援し、農業経営にあたる人材とのマッチングによって経営の質を向上させることを促進する農業経営力向上支援事業に7億円(同5億円)、新規就農・経営継承総合支援事業に193億円(同195億円)を措置する。このうち青年就農給付金は116億円(同122億円)。 畜産・酪農対策では、濃厚飼料原料の増産、レンタカウを活用した肉用繁殖牛等の放牧推進など飼料増産総合対策事業に10億円(同11億円)、輸入粗飼料の使用量を減らして自給飼料の作付面積を拡大する酪農家を支援する飼料生産型酪農経営支援事業に68億円(同66億円)を措置する。
GI(地理的表示保護制度)の登録申請・普及啓発、GIを活用した地域産品のブランド化を支援する地理的表示等活用総合対策事業は新規事業として2億円を措置する。 農林水産物の輸出では、国別・品目別輸出戦略の効果的な実施のための輸出戦略の実行体制の強化に13億円(同11億円)、輸出に取り組む事業者を支援する輸出総合サポートプロジェクトに15億円(同14億円)、輸出促進に資する動植物防疫体制の整備に4億円(同4億円などを措置する。
新規事業では国際的な取引にも通用し、日本の食文化に適用しやすい日本発の食品安全管理規格・認証スキームの推進(1億円)、食文化発信による海外需要フロンティア開拓の加速化(8億円)などもある。
日本型直接支払は多面的機能支払交付金483億円(同483億円)、中山間地域等直接支払交付金263億円(同290億円)、環境保全型農業直接支払交付金24億円(同26億円)となっている。
産地パワーアップ事業新設や畜産クラスター事業の基金化などTPP対策は27年度補正予算に盛り込んでいる。
(関連記事)
・補正予算で4008億円確保TPP関連対策3122億円 (2015.12.18)
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