トキと共生する佐渡市で全国棚田サミット (3)2016年8月19日
棚田には夢がある!
-棚田の価値を知り・活かし・継承するために-
(長野県小谷村/吉田忠文)
◆学校教育による人材育成や「棚田未来予想図」の実現も ―「大会宣言」で採択―
午後からはアミューズメント佐渡大ホールで、分科会のまとめが各座長から報告された。そして共に世界農業遺産に認定されている佐渡市の地域おこし協力隊員・岩崎貴大君と近藤千扇さん、輪島市の協力隊員である山本亮君の三人で、分科会での討議を集約した大会宣言案を提案、満場の拍手で採択された。(別掲参照)
大会が閉幕してからも参加者との交流プログラムは続けられた。
15日は午後2時半から(1)相川中学生のガイドによる佐渡金山近代化遺産、(2)尖閣湾見学と民話語り、(3)行谷小学生ガイドによるトキの森公園・トキ野生復帰ステーション見学。さらに16日午前中も6コースの交流案内が行われた。
なお次回のサミットは長崎県波佐見町で平成29年9月27~28日に開催される。さらに平成30年夏には長野県小谷村で行われる。
【第22回全国棚田(千枚田)サミット「共同宣言」】
私たち全国の農産物生産者、消費者、棚田保全団体、行政職員など、さまざまな立場から棚田にかかわる人々は、今回新潟県佐渡市に集い、第22回全国棚田(千枚田)サミットを開催しました。
棚田は、先人たちが多大な努力と長い年月をかけて築き上げてきた農業的・環境的・文化的な価値を持つ、私たちのかけがえのない財産です。しかし高齢化、農業の担い手不足などにより、全国の棚田は危機的な状況に直面しています。
そこで今回のサミットでは、棚田の魅力や可能性を再発見し、夢を持ってどう未来に継承していくか、議論を深めました。
ここに、私たちの議論の成果を共同で宣言します。
1.私たちは、かけがえのない里山の農業を支えるため、棚田米の価値を消費者と共有し、交流活動を積極的に進めます。
2.私たちは、豊かな命をはぐくむ里山を舞台に食と農の原体験の機会をつくり、棚田の多様な可能性と夢を追求しながら、果敢に挑戦し続ける姿勢を通して「共感」と「協働」のスパイラルを生み出します。
3.私たちは、過去から受け継いできた棚田地域の環境とコミュニティを次世代につなぐため。外部との交流を通じて、自分たちが誇りと楽しみを持てる地域資源の発掘・発信に努めます。
4.私たちは、棚田保全活動を持続的に続けていくため、取り組みの事業化を行い、新たな地域資源を発見・創造することにより、内外から担い手が集まるような仕組みづくりに取り組みます。
5.私たちは、棚田が発信する自然共生社会という価値観を世の中に広め、地域外からの"外貧"獲得に向けた仕組みづくりや学校教育を通じた人材育成に積極的に取り組みます。
6.私たち棚田の未来を担う若手は、棚田を「日常」「学び」「イベント交流」の3つの場と捉え、地域の特性に合った3つのバランスを考えながら、自らの考えた「棚田の未来予想図」の実現に取り組みます。
平成28年7月15日 第22回全国棚田(千枚田)サミット 参加者一同
(写真)「大会宣言」案を提案する佐渡・輪島の協力隊員
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