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農業競争力強化プログラム(3~8)(中)「収入保険」「土地改良」等2016年11月25日

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農業競争力強化プログラム(案)平成28年11月
自由民主党農林・食料戦略調査会
農林部会・畜産・酪農対策小委員会
農林水産業骨太方針策定PT
農業基本政策検討PT

 提案された「農業競争力強化プログラム」の概要および全文は以下の通り。

3 農政新時代に必要な人材力を強化するシステムの整備

(1)農業教育システム
・次世代の農業経営者育成キャリアパスを明確化するため、農業大学校の専門職業大学(仮称)化を推進する。
 このため、文部科学省と農林水産省が連携して、農業大学校の現状に即した円滑な移行を促進するためのスキームを検討する。
・また、専門職業大学(仮称)化を推進するため、農林水産省が実施する農業大学校教員等向けの研修や産学連携推進等の補助事業の活用を促進する。
・更に、文部科学省と農林水産省が連携して、農業高校の教育環境を充実するため、地域農業者との連携強化や、農業高校と道府県農業大学校、大学農学部等との連携を促進する。
(2)就職先としての農業法人等の育成
・農業法人の増大と雇用力充実のため、農業界と経済界との連携を強化し、他産業からの人材活用を促進する。
・また、都道府県の法人化推進体制強化のため、税理士等の専門家の派遣・相談対応、農業融資の機会の活用、集落営農等に対する法人化への働きかけを促進する。
・農の雇用事業における研修生の定着率向上のため、事業実施を希望する法人等について、過去の定着率を考慮して、採択の可否を判断する仕組みを導入するなど見直しを行う。
・農の雇用事業を活用する経営者が、研修生を次世代を担う人材として育成強化する観点から、経営者自身のセミナー等の受講を義務付ける。
(3)次世代人材投資
・次世代を担う農業者への支援であることを明確にするため、青年就農給付金を「農業次世代人材投資資金」に改め、
1.次世代を担う意欲ある新規就農者に対し、経営・技術、資金、農地のそれぞれに対応するサポート体制を明確にするとともに、
2.上記サポート体制の整備を前提に、交付3年目までに経営確立の見込み等を見極め、早期に経営確立する者には、さらなる経営発展に繋がる対策を講じることとする。
・また、「農業女子プロジェクト」等の展開を通じ、地域農業の振興や農業経営の発展、6次産業化の展開に重要な役割を担っている女性の活躍を推進する。
(4)地域の農業経営塾と海外研修等
・就農後の経営能力向上のため、各県において営農しながら本格的に経営を学ぶ場として農業経営塾の本格稼働を推進する。
・その際、地域の農業法人、経済団体等とも連携を図るとともに、JA営農指導員など農業をサポートする人材も含め育成していく。
・国際感覚を身につけた人材を育成するため、
1.海外研修への参加
2.文部科学省と経済界が連携し実施している留学プログラム(トビタテ!留学JAPAN)の積極的な活用
3.農業法人等の従業員の海外研修への参加を促進する。
・農林水産物・食品のマーケティングやプロモーション、輸出に係る手続等の知識やノウハウを有する人材を育成・研修する。また、農業高校等をはじめとした農業教育システムの中で、輸出力強化について学ぶ機会の充実等を図る。
(5)労働力の確保
・地域の関係機関が連携して、子育て世代等の地域で眠っている労働力の活用、他産業からの労働力の融通等により労働力確保を進める取組を推進する。併せて、農業分野における障害者等の就労を促進する農福連携を推進する。
・農業現場からの提案等も踏まえつつ、農業の成長産業化に向けて、外国人技能実習制度とは別に外国人材の活躍を促進するためのスキームの導入を検討する。
(6)産学官の連携
・農林漁業者の所得の向上や、就業人ロの減少・高齢化を踏まえた省力化や作業の安全への対応等の生産現場のニーズに即した効率的・効果的な研究体制を構築するため、
1.農林漁業者等のニーズを踏まえた明確な研究目標の下で、農林漁業者、企業、大学、研究機関がチームを組んで、現場への実装までを視野に入れて行う、新市場を開拓する新規作物の導入や、ICTやロボット技術等を活用した現場実証型の技術開発推進
2.大学、国・都道府県の試験研究機関が持つ研究成果や研究者情報を体系的に整理し、農業者等のスマホ・タブレット対応等により手軽に情報を入手できる形での公開
3.地域や分野ごとにコアとなる研究機関を定め、関係する企業・大学・研究機関のネットワーク化を推進する。
・熟練農業者のノウハウの見える化を図るため、AI等の最新技術を活用し未経験者が短期間で身に付けられるシステムの構築を推進する。
(7)技術、人材力等の活用による生産基盤の強化
・土づくり技術の普及や最新技術による水管理のため、
1.土づくりの専門家をリスト化し、土壌診断に基づく土づくりの取組を普及するとともに、土壌中の微生物のDNA解析技術等を通じて処方箋を提供する、新たな土づくり技術の開発
2.水田を遠隔で監視できる1CTを活用した低コスト水管理システムの開発、及びその成果に基づく地域の水管理モデルの構築を促進する。
・生産現場における1CT等の先進技術の活用を進めるため、普及指導員等に対する研修・セミナーの充実、実証研究等への現場の参画、民間人材によるサポートの拡大等を推進する。

4 戦略的輸出体制の整備

1.農林水産業の輸出力強化に向けた取組
・「農林水産業の輸出力強化戦略」(平成28年5月農林水産業・地域の活力創造本部決定。以下「輸出戦略」という。)を踏まえ、以下のような取組を進めていく。
(1)海外市場のニーズ把握や需要の掘り起こしに向けたプロモーション
(2)国内の農林漁業者・食品事業者の販路開拓のための相談や商談会出展等の促進
(3)大量かつ低コストの輸送を可能にする鮮度保持輸送技術の普及促進等物流の高度化の推進
(4)輸出先国・地域の輸入規制の緩和・撤廃等に向けた輸出環境の整備
・特に、輸出戦略の実践に必要なハード面・ソフト面のインフラ整備等を整合的かつ計画的に進めるため、「農林水産物輸出インフラ整備プログラム」を別に定め、新鮮・安全な農林水産物の輸出拠点として、空港や港湾に近い卸売市場の活用や、輸出拡大のために必要な生産物の流通・加工施設の整備、サポート体制の充実等を推進する。
2.輸出拡大を更に促進するための具体的な取組
(1)日本版SOPEXAの創設
・生産者の所得向上につながる日本産農林水産物・食品のブランディングやプロモーション、輸出事業者へのサポートを早急に強化するため、農林水産物・食品の輸出促進にミッションを特化した「日本版SOPEXA」を創設する。この組織は、JETROの組織を活用しつつ、将来民営化することを視野に、意思決定の独立性、民間企業等の外部人材の登用、成果主義の導入により、事業を遂行するものとする。
(2)地域等の取組の促進
・具体的な産品を輸出する際に、共同で集荷・発送する等、輸出向けの生産・流通体制の整備、輸出に係る手続M決済代行等の機能を有する体制を構築することが有効であり、こうした機能を有する全国団体や地域商社、JA等の取組を促進する。
(3)規格・認証や知的財産制度の活用促進と規制の緩和・撤廃
・日本産品の品質や特色のアピールにつなげるため、国際標準化を見据えたJAS規格、日本発の食品安全管理規格等の充実・普及、地理的表示、品種登録の活用やこれらを含む知的財産の保護を図る。
・この一環として、JAS法に基づく制度のあり方を見直し、生産行程や生産・流通管理の方法等といった多様な規格の制定、国際的に通用する認証や表示により、海外事業者への訴求に向けて戦略的にJASを活用する。
・生産者・事業者からの要望等も踏まえ、様々な外交の場等を広く活用して取組の加速化を図るなど、政府一体となって海外の規制等の緩和・撤廃に取り組む。

5 全ての加工食品への原料原産地表示の導入
 
・消費者がより適切に食品を選択するための機会の確保や、消費者の需要に即した食品の生産の振興に資するよう、全ての加工食品について、実行可能な方法で原料原産地を表示することとし、国民の日々の選択が日本の食と農を支える社会を実現する。
・具体的には全ての加工食品を対象に、製品に占める重量割合上位1位の原料について、原則として、原産地を国別重量順に表示する。
・例外的に、これが困難な場合には、(1)可能性表示(A国又はB国)や(2)大括り表示(輸入)、(3)さらに中間加工原材料については製造地表示(A国製造)を行うなどの仕組みを整備し、実行可能性を担保する。その際には、インターネットなどにより、自主的に補足的な情報開示に努めることとする。
(図1及び図2参照) 図1のPDFはこちらから。図2のPDFはこちらから。

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6 チェックオフ導入の検討

・生産者から拠出額を徴収し、農産物の販売促進などを行うチェックオフについては、諸外国では農産物の生産者等が、自らの拠出金により、主体的に、国内外での農産物の販売促進や調査・研究等の事業を実施することを目的として、品目別に導入されている。
・我が国においても、このようなチェックオフの導入は、農産物の消費拡大を図る上で有意義なものとなりうる。
・チェックオフは、法制化するとなれば全生産者から拠出金を強制徴収するものとなることからぐ法制化に際しては、導入を検討する業界団体等において、資金使途・具体的事業内容やそれに見合う拠出金額等について、生産者の大宗の合意形成を図ることが必要である。
・このため、チェックオフの法制化を要望する業界において、推進母体を立ち上げ、チェックオフのスキームを決めて、法制化に賛同する生産者を拡大する取組を実施し、一定程度(75%以上)同意が得られた場合に法制化に着手することとする。

7 収入保険制度の導入

<収入保険制度の基本的考え方>
・現行の農業災害補償制度は、
(1)自然災害による収量減少が対象であり、価格低下等は対象外
(2)対象品目が限定的で、農業経営全体をカバーしていない
など、農業経営全体を一括してカバーするセーフティネットとなっていない。
・他方、農業の成長産業化を図るためには、自由な経営判断に基づき経営の発展に取り組む農業経営者を育成する必要がある。
・収入保険制度は、このような農業経営者のセーフティネットとして、品目の枠にとらわれずに、農業経営者ごとの収入全体を見て総合的に対応し得る保険制度として仕組む。
・収入保険制度の具体的な仕組みは、別記1のとおりとする。
・なお、制度の趣旨を適切に表現する名称(例えば「農業経営サポート保険」)を検討する。

<収入保険制度と類似制度との関係>
・収入保険制度と類似制度との関係については、それぞれの制度の対象者、補償内容等が異なる中で、国費の二重助成を避けつつ、農業者がそれぞれの経営形態に応じた適切なセーフティネットを利用できるよう、選択加入とする。
・ただし、収入減少だけでなくコスト増も補填する肉用牛肥育経営安定特別対策事業(マルキン)等の対象である肉用牛、肉用子牛、肉用豚、鶏卵については、収入保険制度の対象品目とはしないで、それらと他の品目との複合経営を行っている場合に、他の品目部分のみ収入保険制度の対象とする。
(注)なお、主食用米の需要に応じた生産については、現在、水田フル活用への支援、需給情報の適切な提供等の取組が行われており、これらの対策を引き続き推進する。

<農業災害補償制度の見直しの基本的考え方>
・農業災害補償制度については、農業者の減少・高齢化、保険ニーズの多様化等時代の変化を踏まえ、農業者へのサービスの向上及び効率的な事業執行による農業者の負担軽減の観点から、別記2のとおり見直しを行う。

<加入促進と円滑な移行のための措置>
・「備えあれば憂いなし」の農業生産体制を構築していくため、収入保険制度又は農業災害補償制度への加入を促進する。特に、収入保険制度については、新制度の発足でもあり、早期に適正規模を確保する必要があることから、JA.農業委員会などの関係組織と連携して、きめ細かく推進する。
・また、農業災害補償制度の加入者が、新設される収入保険制度等に円滑に移行できるようにするため、以下のような措置を講ずる。
(1)収入保険制度については、青色申告の実績が加入申請時に1年分あれば加入できるようにする。
(2)特に水稲共済において現在加入者が多い一筆方式については、廃止までに所要の移行期間を設け、その間に農業者が青色申告の実施や他の引受方式の利害得失を検討できるようにする。

<収入保険制度の実施主体、農業共済団体のあり方>
・収入保険制度の実施主体は、
(1)母集団を確保するため、全国をカバーできる事業エリアを有していること
(2)保険制度を公正に運営するため、農産物の価格形成や販売等に関与していないこと
(3)保険業務に関するノウハウを有していること
(4)農業に関する知識を有していること
の4つの要件を満たす必要がある。この観点から、農業共済団体が新たに設立する全国組織を念頭において法案の準備を進める。
・民間のノウハウも活用して農業者へのサービス向上を図るため、実施主体は民間損保会社と積極的に技術的な連携を図る。
・併せて、農業共済団体については、組織の効率化やガバナンスの強化を図るため、国による検査の実施、収入保険事業を行う場合の秘密保持義務等を措置する。

<その他>
・以上の基本的方針に即して今後細部を詰めていき、必要な法案を次期通常国会に提出する。
・制度については一定期間経過後に見直すこととし、法案の作成に当たっては、今後の制度の見直しを円滑に行えるよう措置する。

別記1 収入保険制度の具体的な仕組み
<対象者等>
(1)対象者
・個々の農業者の収入を正確に把握するため、青色申告を行い、経営管理を適切に行っている農業者(個人・法人)を対象とする。
・基準収入との関係では、平均的な収入を適切に把握する観点から、青色申告を5年間継続している農業者を基本とするが、青色申告(簡易な方式を含む。)の実績が加入申請時に1年分あれば加入できるようにし、その際、5年間の青色申告実績がある者との違いも考慮し、補償限度額は申告実績が5年になるまで徐々に引き上げていく等の措置を設けてスタートする。
・なお、加入するかどうかは、農業者の選択に委ねる(任意加入)。
(2)収入の把握方法
・農業者が、自己申告により、農産物の販売金額等を記載した加入申請書や補助フォーム(青色申告書の販売金額を農産物の種類ごと等に区分するための書類)とともに、青色申告書等の税務関係書類を提出し、実施主体が、内容をチェックする。
<対象収入>
・所得を対象とするとすれば、コストを正確に把握する必要があるが、コストは個人が左右できるものであり、合理性の確認が難しいことから、所得ではなく、農業者が自ら生産している農産物の販売収入全体を対象とする。
・農産物の販売収入の算定の考え方については、以下のとおりとする。
(1)加工品については、農産物以外の原材料も用いられているため、販売収入に含めない。ただし、精米、荒茶、梅干し、畳表など税法上農業所得として扱われているものについては、農産物に含める。
 なお、自ら生産した農産物を加工する場合には、税の仕組みと同様に、農産物を加工原材料として販売したとみなした代金を、農産物の販売収入に含める。
 また、在庫についても、税の仕組みと同様に、農産物の販売収入に含める。
(2)補助金は、政策判断で改廃されるものであり、保険には馴染まないことから、販売収入に含めない。
 ただし、コスト割れを補填する畑作物の直接支払交付金、甘味資源作物交付金等の数量払については、実態上、販売収入と一体的に取り扱われているため、販売収入に含める。
<対象要因等>
(1)対象要因
・制度の趣旨から、自然災害に加え、価格低下など農業者の経営努力では避けられない収入減少を補償の対象とする。ただし、保険金支払の公正を確保するため、捨て作りや意図的な安売り等は対象外とする。
(2)保険金の不正受給防止策
・保険金の不正受給を防止するため、農業者は、災害等の事故発生時に実施主体に通知等を行うとともに、実施主体は、必要に応じ、現地調査等を実施する。
・また、不正があった場合は、保険金を支払わないほか、亘大な不正があった場合は、翌年以降の加入を禁止する。
<補償内容>
(1)基準収入
・補填の基準となる基準収入の設定の考え方については、以下のとおりとする。
(1)農業者個々の収入を用いるため、収入を意図的に下げることを防止する観点から、過去5年間の平均収入(5中5)を基準収入とすることを基本とする。
(2)ただし、当年の経営面積を過去よりも拡大する場合や、過去の収入金額に一定の上昇トレンドの実績が確認できる場合等は、当年の営農計画に基づく期待収入を上限として基準収入を上方修正する。
(3)また、当年の営農計画に基づく期待収入が5中5よりも低くなると見込まれる場合は、期待収入を基準収入として設定する。
(2)補償限度額及び支払率
(1)基準収入を少しでも下回った場合に補填するとすれば、事務コストが増嵩し、保険料も高くなるため、当年の収入が基準収入の9割水準(5年以上の青色申告実績がある場合の補償限度額)を下回った場合に補填する。
(2)また、当年の収入が補償限度額を下回ることが明らかになった以降に経営努力を怠ることを防止するため、補償限度額を下回った額の9割(支払率)の補填金を支払う。
(3)補償限度額及び支払率は、農業者が保険料負担を勘案して補償内容を選択できるようにするため、一定の上限の下に複数の選択肢を設ける。
(3)補填方式
・保険料が経営にとって過度な負担にならないようにするため、掛捨ての保険方式と掛捨てとならない積立方式の組み合わせとすることを基本とする。また、補填のタイプを選択できるようにする。
(4)保険料・積立金
・保険料・積立金は、全経営体共通のものとして設定する。
・農業者の保険料負担を軽減するため、保険料は危険段階別に設定し、保険金の受領が少ない者の保険料率は段階的に下げる仕組みとする。
・保険料については50%、積立金については75%の国庫補助を行う。
・また、農業者の負担が軽減され、加入促進に資するため、現行の農業災害補償制度と同様の措置を講ずるなど税制面のメリットについて検討する。
<加入・支払時期>
・加入・支払時期については、税制度と整合した簡素な仕組みとすることにより、農業者にとって手間やコストの掛からないようにするため、以下のとおりとする。
(1)収入算定期間は、個人は1月~12月、法人は事業年度の1年間とする。
(2)原則として、収入算定期間の開始前までに加入申請を行い、保険料・積立金を納付する。
(3)補填金の支払は、収入算定期間終了後の税申告後(個人は翌年3月~6月)とする。
 ただし、損害の発生から補填金の支払までの間の資金繰りに対応するため、簡易な審査など使い易い融資を措置する。
<政府再保険>
・不測時に、農業者に確実に保険金が支払われるようにするため、政府再保険を措置する。
<その他>
・制度実施後も、データの蓄積を進めるとともに、農業者のニーズを把握しながら、甚大な被害への対応のあり方等を含め、改善点について、引き続き検討していく。

別記2 農業災害補償制度の見直し
<農作物共済の当然加入制の取扱い>
・農作物共済の当然加入制については、食糧管理法が廃止されるなど制度自休の前提が変化していることに加え、収入保険制度やナラシなどの経営安定対策が全て任意加入制となっていることを踏まえ、任意加入制に移行する。
<収穫共済(農作物共済、畑作物共済、果樹共済)の取扱い>
(1)引受方式
1.一筆方式及び樹園地単位方式については、現在普及した制度ではあるものの、農業者による損害評価やいわゆる「坪刈り」による査定方式など将来に向けて継続することが困難な状況となっているため、効率的な事業執行による農業者の負担軽減の観点から、所要の移行期間を設けた上で廃止する。
 その際、農作物共済の全相殺方式及び半相殺方式に、収穫量の減少が50%以上のほ場について坪刈り等を要さずに50%減収として共済金を支払う仕組み(一筆半損特例)を設けて、従来一筆方式に加入していた者が円滑に移行できるようにする。
 更に、コストのかからない選択肢として、統計データを用いて共済金を支払う方式(地域インデックス方式)を創設する。農作物共済のこの方式にも前述の一筆半損特例を設ける。
2.果樹共済の特定危険方式については、農業者が将来発生するリスクを予見することが困難であることから、制度の周知のための所要の移行期間を設けた上で廃止する。
 園芸施設共済の被覆している期間だけの短期加入のオプションについても、同様の理由で、制度の周知のための所要の移行期間を設けた上で廃止する。
(2)補償割合
・畑作物共済及び果樹共済の補償割合については、農業者が掛金負担を勘案して補償内容を選択できるようにするため、農作物共済と同様、一定の上限の下に複数の選択肢を設ける。
<家畜共済の取扱い>
・家畜共済については、農業者へのサービスの向上及び効率的な事業執行による農業者の負担軽減の観点から、以下の見直しを行う。
(1)家畜共済を死廃共済と病傷共済に分離して、一方のみの補償及び別々の補償割合を選択できるようにする。
(2)死廃事故の補償金額について、日々価値が増加する肥育牛等は、期首ではなく、事故発生時の資産価値で評価する。
(3)家畜の異動の都度、農業者が申告する現在の方式を廃止し、期首に年間の飼養計画を申告し、期末に掛金を調整する方法に簡素化する。
(4)国の再保険金については、現在は共済事故1件ごとに支払う仕組みであるが、他の共済と同様、年間の共済金支払が一定水準を超えた場合に支払う方式に変更する。
(5)初診料以外の診療費が全額補償され事故低減のインセンティブにつながらない現在の病傷事故の共済金については、制度の周知のための所要の移行期間を設けた上で、初診料を含めた診療費全体に一定の自己負担を設ける。
(6)原則として共済金の請求ができない家畜導入後2週間以内の事故については、請求できる事例(外傷等)を周知徹底する。また、共済加入者間で取引された家畜については、導入前の家畜の飼養状況について共済組合によるチェックが行われていることから、請求できることとする。
(7)共済に加入している農業者から家畜商が購入し、と畜場で牛白血病と診断された場合は、農業者自らが出荷した場合と同様、共済金の対象とする。
<掛金の取扱い>
・掛金については、農業者の負担軽減のため、現在一部の共済組合で実施されている危険段階別に設定する方式(危険段階別共済掛金率)を全ての共済組合で導入する。
・共済組合ごとに実施され、事故低減のインセンティブが小さい無事戻しについては、所要の移行期間を設けた上で廃止する。なお、移行期間中において無事戻しを行う場合は、漁業共済と同様、農業者及び国の双方に払戻しをする。


8 真に必要な基盤整備を円滑に行うための土地改良制度の見直し

1ほ場整備事業
(1)農地中間管理機構と関連する事業の円滑な実施
・機構が借り入れている農地について、農業者からの申請によらず、都道府県営事業として、農業者の費用負担や同意を求めない基盤整備事業を実施できる制度を創設する。
・その際、公共性・公益性を確実に担保する観点から、
1.機構が借り受けている農地で、かつ、一定規模以上の面的まとまりがあるものが対象であること
2.機構の借入期間(中間管理権の設定期間)が、基盤整備事業開始時から相当程度あること
3.本事業の実施により、担い手への農用地の集団化が相当程度図られること
4.本事業の実施により、事業実施地域の収益性が相当程度向上することを要件とする。
 また併せて、本事業によって整備された農地が直ちに転用されることを防止するため、農用地区域からの除外規制強化のための措置等を講ずる。
(2)農地中間管理機構等との情報共有
・権利の移動に伴う事業参加資格者を適切に把握し、土地改良事業を効果的・効率的に実施するため、
1.農業委員会が保有する農地台帳
2.機構が保有する農地中間管理事業に関する帳簿
3.土地改良区が保有する土地原簿等
についての情報共有を図る。
(3)共有地に係る同意手続
・土地区画整理法を参考に、1.事業に関する同意、2.組合運営に関する議決権又は選挙権の行使、3.換地計画に関する権利者会議における同意に当たり、共有地の代表者が共有者の意向を取りまとめ、共有地に関する意思を表明できる仕組み(この場合、事業に関する同意等を合わせて1票としてカウント)を導入する。
(4)申請人数要件
・国・都道府県営土地改良事業に係る申請人数要件(15人以上)について、各地の現場実態に的確に対応できるよう、廃止する(かんがい排水事業も同様)。
(5)水田の畑地化への対応
・畑地化や畑作物に軸足を置いた汎用化のための基盤整備に当たっては、水利用調整・土地利用調整や、高収益作物の導入を円滑に進めるため、地区の負担軽減等を図る。
・上記の基盤整備を行った場合には、当該地区には水田活用の直接支払交付金を交付しないこととするが、このうち畑作物に軸足を置いた汎用化をした部分については、基盤整備直後の農家の経営状況の変化に鑑み、事業完了後5年間は激変緩和措置を講ずる。
・中山間地域で畑地化する際は、維持管理に係る負担を減らすため、畑地の緩傾斜化・高機能化を図る。

2かんがい排水事業
(1)突発事故への対応
・突発事故に対応した事業についても、災害復旧と同様に、国又は地方公共団体が、農業者からの申請によらず、原則として農業者の費用負担・同意を求めずに事業を迅速に実施できる仕組み等を導入する。
(2)同意徴集手続の簡素化の範囲の拡大
・用排水施設の更新に当たってのICTの導入、開水路のパイプライン化や、ゲリラ豪雨対策としての排水施設の排水能力の向上など、一定の機能向上を伴う更新事業についても、同意徴集手続の簡素化の対象に追加する。

3農村地域防災減災事業等
(1)ため池等の耐震化事業
・ため池等の耐震化事業について、国又は地方公共団体が、農業者からの申請によらず、自らの判断により、原則として農業者の費用負担・同意を求めずに事業を実施できる仕組みを創設する。
(2)除塩事業
・除塩事業について、巨大地震が発生する度に特例法を措置することなく、土地改良法に基づく災害復旧事業として位置づけ、国又は地方公共団体が、農業者からの申請等によらず、速やかに事業を実施できるようにする。

4地改良区の在り方
(1)土地改良区の組合員資格
・農地の所有と経営の分離が一層進展することが見込まれる中、一筆1資格などの現行制度の仕組みで対応可能かどうかを含めて、こうした課題に対応できる事業参加資格者及び土地改良区の在り方等について、更に実態を調査すること等を通じて、引き続き、検討していく。
(2)土地改良区の体制
・土地改良区の組織体制が弱体化する中で、合併や事務統合の促進等による事務局体制の強化や、市町村や県土連、民間事業者等への維持管理・運営事務の委託の拡大、小水力発電の導入など土地改良施設の高度利用による財政基盤の強化を促進する。
・土地改良区の体制については、組合員資格の在り方と合わせて、引き続き、検討していく。

農業競争力強化プログラム(1.2)(上)「生産資材」「販売、流通・加工)

農業競争力強化プログラム(9~13)(下)「飼料用米」「牛乳、乳製品の生産、流通」等

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