TPPは終わっていない RCEPで学習会2017年9月14日
政府に情報公開求める市民団体が院内集会
TPP11(環太平洋パートナーシップ協定)やRCEP(東アジア地域包括経済連携)など秘密裏に進められている通商交渉について、「TPP プラスを許さない!全国共同行動」は9月11日、東京・霞ヶ関の参議院議員会館で、情報・認識を共有させるための院内集会を開いた。外務省・内閣府・農水省の担当官が出席し、経過説明したが、「交渉中で公表できない」との回答に参加者から不安の声が多く出た。
(写真)秘密交渉に抗議の声が上がった院内集会
米国の離脱でTPPが頓挫した後、「メガFTA」が推進され、現在、TPPのほか TTIP(大西洋横断貿易投資パートナーシップ)、TiSA(新サービス貿易協定)、日中韓FTAなどがあり、いずれも交渉中だがどれも妥結していない。日本ではTPP後、にわかに浮上してきたのがRCEPである。
2013年に交渉が始まり、2017年7月で交渉会合は19回、同年9月までで閣僚会議は5回に及ぶ。当初は2017年中にも妥結する方針だったが、いまだ先行きが見えない状況にある。それに米国抜きの11か国のTPP11(イレブン)交渉も併行して進んでいる。
こうした通商交渉の経過を報告した内田聖子・アジア太平洋資料センター共同代表は「RCEPはTPPのコピーのようなもの。問題になるのはTPPの交渉内容とどう調整するかにある」という。特にTPP協定は米国を含めた内容になっており、将来米国がTPPに復帰した場合を見込み、それまでは米国が関わる項目を凍結することになっている。
TPPは頓挫したのに凍結する理由、またその項目は何で、いくつあるのかを明らかにするよう求めたが、出席した内閣府のTPP等政府対策本部の中島勇人企画担当官は、「各国で国内調整中。進捗状況に差があるので明らかにできない」と回答を避けた。ただ、知的財産権や医薬品の特許権の保護期間などが議論されていることを明らかにした。
またTPP11に関しては、11月には日本で閣僚会議が予定されていることについて、同企画官は「日本がイニシアティブをとって11か国で早く発効にもっていきたい」との考えを示した。そのほか、参加者から多くの質問があったが「TPPとRCEPは重なる分野はあるが、交渉はパッケージで行なわれており、一つひとつの交渉の中身は明らかにできない」(外務省経済局経済連携課・澤田修孝課長代理)との対応で終始した。
学習会には「TPP阻止国民会議」、「フォーラム平和・人権・環境」、「STOP TPP!!市民アクション」など市民団体のメンバーのほか、民主、共産党の国会議員なども出席した。呼びかけ人を代表して元農水大臣の山田正彦氏は「欧米では少なくとも国会議員には情報をオープンにしている。国民・市民には知る権利がある。政府にはもっと協議する場を設けて欲しい。引き続きこうした学習会をひらきたい」と、情報公開の必要性を訴えた。
(関連記事)
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