収入保険 10月1日から加入申請手続き2018年9月27日
全国農業共済組合連合会(NOSAI全国連)は10月1日から全国一斉に収入保険の加入申請手続きを開始する。当面は10万経営体の加入が目標。個別農家は11月末までが加入申請期間となっている。
収入保険は青色申告を行っている農業者が対象。販売農家125万人のうち青色申告者は45万人。個別経営は42.4万人で法人が2.1万となっている(28年)。
収入保険は自然災害による収量減少に加え、価格低下なども含めた農業収入の減少を総合的に補てんする新しい仕組み。▽市場価格の低下、▽災害で作付けが不能、▽けがや病気で収穫不能、▽倉庫が浸水して売り物にならず、▽取引先が倒産、▽輸出したが為替変動で損失を出したなどのケースで収入が減少した場合も補てんされる。
個々の経営体の過去5年の平均収入を基本とし、その年の規模拡大などの営農計画も考慮して個別に基準収入を決める。保険期間は毎年1月から12月。この期間中の収入が基準収入の9割を下回った場合に、下回った額の9割を補てんする。
補てんには「掛け捨ての保険方式」と「掛け捨てにならない積立方式」がありその組み合わせができる。
基準収入が1000万円の農家の場合、保険期間の農業収入が900万円を下回った場合に補てんされる。たとえば、800万円に下がったら900万円との差額100万円の9割、すなわち90万円が補てんされる。700万円なら差額200万円の9割、180万円が補てんされる。(掛け捨て保険方式の補償限度80%(図の①)と掛け捨てではない積立方式の補償幅10%(図の(2))の組み合わせで加入した場合)。
国庫から掛け捨て保険料には50%(国:農家=1:1)、積立金には75%(同=3:1)、事務費には50%の補助がある。初年度は保険料率1.08%とされ、掛け捨ての保険料は基準収入1000万円の場合、国庫補助を差し引き7.8万円となる。同様に積立金は22.5万円、事務は2.2万円で初年度は合計で32.5万円となる。
農家の収入が下がらず保険金の受け取りがなければ保険料率は下がり、受け取りがあると被害率の大きさに応じて料率は上がる(年最大3区分まで)。また、積立金は自分のお金なので補てんに使わなければ翌年に持ち越しとなる。
対象は花や蜂蜜などこれまで制度がなかった農産物も含めほとんどとなり、精米や梅干し、牛乳など簡易な加工品も含む。対象外は肉用牛、肉用子牛、肉豚、鶏卵。これはマルキン対策が実施され収入補てんの仕組みがあるため。収入保険がスタートしても農業共済やナラシ対策、野菜価格安定対策などの制度は維持される。農家はどちからの制度を選択して加入する。
農家からは「米以外の作物も含めて全体がカバーされるので安心」、「加工や販売など多様化しており、これまでの対策では対応できないリスクも生じており加入したい」、「収入保険は自分の売上げが基準になるので単価が高いブランド米の生産、販売も安心できる」などの声が寄せられているという。
(関連記事)
・概算要求2兆7269億円-31年度農林水産予算(18.08.31)
・【鈴木宣弘・食料・農業問題 本質と裏側】欧米農政への誤解(18.08.23)
・10万経営体加入 早期達成を-全国農業共済組合連合会(18.06.27)
重要な記事
最新の記事
-
農林水産省 エン・ジャパンで「総合職」の公募開始2024年11月22日
-
鳥インフル 米モンタナ州、ワシントン州からの生きた家きん、家きん肉等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
鳥インフル オランダからの生きた家きん等 輸入を一時停止 農水省2024年11月22日
-
11月29日「ノウフクの日」に制定 全国でイベント開催 農水省2024年11月22日
-
(411)「豚ホテル」の異なるベクトル【三石誠司・グローバルとローカル:世界は今】2024年11月22日
-
名産品のキャベツを身近に「キャベツ狩り選手権」開催 JA遠州中央2024年11月22日
-
無人で水田抑草「アイガモロボ」NEWGREENと資本業務提携 JA三井リース2024年11月22日
-
みのるダイニング名古屋店開業2周年「松阪牛ステーキ定食」特別価格で提供 JA全農2024年11月22日
-
【スマート農業の風】農業アプリと地図データと筆ポリゴン・eMAFF農地ナビ2024年11月22日
-
自動運転とコスト【消費者の目・花ちゃん】2024年11月22日
-
イチゴ優良苗の大量培養技術 埼玉農業大賞「革新的農業技術部門」で大賞受賞 第一実業2024年11月22日
-
「AGRIST Aiサミット 2024」産官学金オープンイノベーションで開催2024年11月22日
-
厚木・世田谷・北海道オホーツクの3キャンパスで収穫祭を開催 東京農大2024年11月22日
-
大気中の窒素を植物に有効利用 バイオスティミュラント「エヌキャッチ」新発売 ファイトクローム2024年11月22日
-
融雪剤・沿岸地域の潮風に高い洗浄効果「MUFB温水洗浄機」網走バスに導入 丸山製作所2024年11月22日
-
農薬散布を効率化 最新ドローンなど無料実演セミナー 九州3会場で開催 セキド2024年11月22日
-
能登半島地震緊急支援募金で中間報告 生産者や支援者が現状を紹介 パルシステム連合会2024年11月22日
-
徳島県産食材をまるごと楽しむ「徳島食の博覧会2024」30日から開催2024年11月22日
-
総供給高と宅配が前年割れ 10月度供給高速報 日本生協連2024年11月22日
-
森林の遮断蒸発 激しい雨の時より多くの雨水を蒸発 森林総合研究所2024年11月22日