農業総産出額9兆2742億円 3年連続増加 主食用米の価格回復で2019年1月7日
平成29年の全国の農業総産出額は前年にくらべ717億円増えて9兆2742億円となった。平成12年以降でもっとも高い水準で、3年連続で増加した。昨年末に公表した。
 農業総産出額は米の消費減退が要因となって平成26年まで長期的に減少してきたが、平成27年から3年連続で増加している。
 品目別にみると、米は808億円増加し1兆7357億円(同4.9%増)となった。農水省によると27年産以降、主食用米から主食用米以外の作物への転換が進み、過剰作付けが3年連続で解消され主食用米の価格が回復したことが寄与した。
 野菜は前年にくらべ1059億円減少し、2兆4508億円(同4.1%減少)となった。要因は食の外部化に対応して加工・業務用野菜への取り組みが進み、生産量は前年よりも増加したものの、価格が前年よりも低下したことが影響した。
 野菜の産出額は平成12年にすべての生鮮食品に原産地表示が義務づけられ、29年には加工食品にまで拡大されたことを背景に国産志向の高まりから需要が堅調に推移しており、近年は2兆円台前半で推移してきた。
 果実は117億円増加し8450億円(同1.4%増加)となった。要因としては生育期間中の天候不順や台風等の影響で、りんご、かきで品質が低下し価格が下がった一方で、高品質で簡便化志向にも対応したシャインマスカットなどのぶどう栽培が拡大し価格も上昇したことが寄与した。
 花きは91億円減少し3438億円(同2.6%減少)となった。中国、ベトナムなどへ盆栽や切り花の輸出が増えているが、国内需要が減少し、キクでは適期適量の出荷ができなかったことで前年にくらべて価格が低下したことが影響した。
◆健康ニーズ 増産促す
 茶は35億円増加し647億円(同5.7%増加)となった。要因は海外需要の拡大にともない抹茶の原料など高単価茶種の生産量が増加したことに加え、ペットボトル緑茶飲料向けの茶葉にも需要が高まり価格が堅調に推移したことが寄与した。
 生乳は11億円増加し7402億円(同0.1%増加)となった。牛乳類の消費はおおむね横ばいで推移する一方、チーズや引き合いの強い国産バターについては必要とされる生産量が確保できなかったことから、結果として総合乳価が上昇したことなどが寄与した。
 肉用牛は79億円減少し7312億円(同1.1%減少)となった。要因としては高品質な和牛の輸出額が増加している一方、生産量の増加で交雑種を中心に枝肉価格が低下したことなどが影響した。
 豚は372億円増加し6494億円(同6.1%)となった。28年以降、豚流行性下痢(PED)の終息により出荷頭数が回復し、家計消費を中心として需要が堅調に推移、価格が上昇したことなどが寄与した。
 鶏卵は130億円増加し5278億円(同2.5%増加)となった。スーパーマーケットやコンビニの総菜向けの実需者ニーズが高まるなかで価格が堅調に推移し生産量が増加したことが寄与した。
 ブロイラーは137億円増加し3578億円(同4.0%増加)となった。要因としては、鶏むね肉を使ったサラダチキンなど健康志向に応える商品開発が進み、生産量、価格ともに堅調に推移したことなどが寄与した。
◆所得も3年連続増
 生産農業所得は農業総産出額が減少傾向で推移してきたことや、肥料費、飼料費、光熱動力費など主要な農業生産資材価格が大きく上昇したことで平成26年までは長期的に減少傾向が続いた。ただ、27年以降は3年連続で増加しており、29年は58億円増加し3兆7616億円(同0.2%増加)となった。平成11年以降でもっとも高い水準。
 要因としては、肥料や配合飼料価格が低下した一方、世界的な景気拡大や産油国の協調減産に伴う原油価格の上昇から光熱動力費などが増加したが、米などの産出額が増加したことで28年に引き続き高い水準を維持した。
(関連記事)
・鹿児島県が2位に上昇、1位は変わらず北海道 29年農業産出額(19.01.07)
・農業産出額1位北海道、2位茨城県、3位鹿児島県-28年(18.01.04)
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