農業総産出額 16年ぶり9兆円超す-28年2017年12月29日
農林水産省が12月26日に発表した平成28年の農業総産出額は9兆2025億円で平成12年以来、16年ぶりに9兆円台となった。全体として生産量の減少による価格の上昇が寄与した。
28年の農業総産出額は前年にくらべて4046億円増加(対前年増加率4.6%)した。2年連続での増加となる。
品目別にみると、米は前年にくらべ1555億円増加し1兆6549億円(同10.4%)となった。収穫量は804万t。2年連続で超過作付が解消し主食用米の価格が上昇、相対取引価格は27年産の1万3175円が1万4305円となったことが産出額を増加させた。
野菜は農家の高齢化等による作付け面積の減少で産出額も減少していたが、平成8年の原産地表示の導入などで国産志向が高まり需要は堅調に推移し近年は2兆円台前半で推移してきた。
28年は前年にくらべ1651億円増加し、2兆5567億円(同6.9%)となった。加工・業務用の国産野菜ニーズで需給が引き締まるなか、秋の天候不順もあり、葉茎菜類、根菜類を中心に価格が上昇したことが要因と考えられるという。
果実の産出額も減少傾向が続いていたが、高単価で取引される優良品目・品種への転換が進んだことで近年は7000億円台で推移してきた。
28年は前年にくらべて495億円増加し、8333億円(同6.3%)となった。夏場の少雨で生産量が減少する一方、高糖度となるなど品質への評価が高まったことから価格が上昇したことが要因と考えられるという。
生乳も後継者不足を背景とした飼養戸数、飼養頭数の減少による生乳生産量の減少で産出額は減少してきた。
平成28年は前年にくらべ77億円増加し、7391億円(同1.1%)となった。実需者が必要とする量の生乳を十分供給できていないことや生産コストの上昇を背景に生乳取引価格が上昇したことが寄与したと考えられるという。
肉用牛は平成3年の輸入自由化や13年のBSE発生の影響などに起因する減少局面を脱し、近年は堅調な需要に支えられて価格が上昇し産出額は増加傾向で推移してきた。
28年は前年にくらべ505億円増加し7391億円(同7.3%)となった。と畜頭数が減少傾向のなか、引き続き需要は堅調で、また、和牛改良の進展と飼養管理技術の向上で高品質な牛肉の割合が増えたことが寄与したと考えられるという。
豚は平成3年の牛肉輸入自由化以降、輸入牛肉への需要シフトで産出額は減少したが、平成7年以降は経営の大規模化の進展で横ばいで推移してきた。
28年は前年にくらべ92億円減少し6122億円(同▲1.5%)となった。需要が堅調に推移しているものの、26年から27年にかけての豚流行性下痢(PED)発生の影響を脱して、と畜頭数が増えて高水準だった価格が落ち着きつつあることなどが寄与したと考えられるという。
また、生産農業所得は農業総産出額が減少傾向で推移してきたことや、肥料、飼料、光熱動力など主要な農業生産資材価格が大きく上昇したことから、26年まで長期的に減少していた。
しかし、28年は27年とくらべて4666億円増加し3兆7558億円(同14.2%)と2年連続で増加した。農業総産出額が増加に転じたことが寄与した。
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