農政:緊急企画:許すな!日本農業を売り渡す屈辱交渉
生命に不可欠な食料 地域の持続可能性守れ【パルシステム連合会代表理事理事長 石田敦史】2018年10月5日
日米首脳会談が9月26日に行われ、両国政府は共同声明を発表しました。そこには「日米物品貿易協定(TAG)と、サービスを含む他の重要分野で早期に結果が出るものについて交渉を開始する」とあります。交渉に当たっては、農林水産品について「過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限」とする日本政府の立場を「尊重する」ことが盛り込まれました。
米国政府はこれまで、対日貿易赤字の削減を目的に、農林水産品の関税を引き下げるための2国間交渉を迫ってきた経緯があります。交渉しだいでは、日本国内の農林水産業に大きな影響をおよぼすことが危惧されます。
農林水産品の多くは、私たち人間にとってなくてはならない食料です。交渉の対象となるほかの物品と異なる点は、生命の存続に不可欠であることにほかなりません。農林水産業は、経済活動にとどまらない価値を有しています。それを単なる「物品」として交渉の俎上(そじょう)に載せる姿勢には、違和感を抱かずにおれません。
また、農林水産業は、それぞれの地域社会にとって大きな柱です。日々の営みから生まれた風習や文化が、その地域のアイデンティティとなり、人々のくらしを支えています。長い歴史を経て培われた知の集積が、各地で異なる気候や風土の下、共存できる地域社会を醸成してきたといっても過言ではありません。
パルシステムグループは、産直を通じて各地の生産者とのつながりを深めてきました。これまで、生産者のみなさんとともに、高品質で安全性の高い産品の生産に励みながら、環境保全や資源循環など、持続可能な地域社会の実現を目指しています。
過度な自由経済を指向する日米交渉は、TPP同様、これまで以上の格差を生みかねず、持続可能な地域社会づくりと相反する要素を多く含んでいます。生命に不可欠な食料の確保と地域社会の持続可能性を守る立場から、このたびの共同声明を懸念するとともに、日本政府へ慎重な交渉を求めます。
(本特集のまとめページ)
TAGに対する緊急企画「許すな!農業を売り渡す屈辱交渉」
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