営業利益28%減、売上高2%減 BASF2020年3月4日
独BASFは、2019年度の業績を発表した。
2019年度の売上高は、販売量の減少と販売価格の低下によって、前年比をわずかに下回り593億ユーロ。特別項目控除前営業利益は、マテリアル事業セグメント、ケミカル事業セグメントの貢献が縮小したことにより、前年比で17億ユーロ減少し、前年比28%減の45億ユーロとなった。
2019年年次報告書の発表会で、BASFのマーティン・ブルーダーミュラー会長は「2019年は、米国と中国の貿易摩擦によるマイナスの影響があり、主な販売市場の成長が停滞。さらに英国のEU離脱をめぐる不確実要素が追い打ちをかけ、工業生産の成長率、化学品生産の成長率は予想を大幅に下回った」と説明した。
マテリアル事業セグメント、ケミカル事業セグメントの特別項目控除前営業利益は、22億ユーロ減の18億ユーロ。イソシアネートの価格の急落、クラッカー製品の利益率の低下、クラッカーの定期修繕、全体的な需要低下が、大きなマイナスの影響を及ぼした。
ブルーダーミュラー会長は「市場環境は厳しい中、川下分野の全事業セグメントで増益となったが、基礎化学品事業における減益を埋め合わせることはできなかった」と述べた。
一方、川下分野は全事業において、前年比で大幅な改善が見られた。インダストリアル・ソリューション事業部門では、二つの事業本部で共に特別項目控除前営業利益が大幅増。アグロソリューション事業部門でも、特別項目控除前営業利益が大幅増となり、「バイエルから買収した資産、および事業の業績が非常に良好で、増収増益に大きく貢献した」(ブルーダーミュラー会長)という。
2019年の営業利益(EBIT)は、60億ユーロから41億ユーロに減少。特別項目控除前EBITDAは前年比11%減の82億ユーロだった。EBITDAは前年の90億ユーロに対し、2019年は80億ユーロ。純利益は前年の47億ユーロから84億ユーロに増加した。
◆第4四半期の売上高と利益成長
BASFグループの2019年第4四半期の売上高は、前年同期比2%減の147億ユーロ。販売量が1%減少し、販売価格も1%下落した。
第4四半期の特別項目控除前営業利益は、前年同期比23%増の7億65百万ユーロ。これはアグロソリューション事業部門、ニュートリション&ケア事業部門、インダストリアル・ソリューション事業部門、サーフェステクノロジー事業部門で大幅増益となったことによるもの。
また、営業活動によるキャッシュフローは、4億6500万ユーロ減少し前年比6%減の75億ユーロ。フリー・キャッシュフローはは前年の約40億ユーロに対し、約37億ユーロだった。
◆バイエルの事業買収は成功
アグロソリューション事業部門におけるバイエルからの事業買収については成功と評価。同社最高財務責任者のハンス‐ウルリッヒ・エンゲル氏は「事業統合は1年で完了した。2019年はこれらの事業で売上高22億ユーロを達成し、特別項目控除前EBITDAに5億ユーロ以上の貢献があった。2025年までには、今回の買収からさらに数億ユーロの売上増を期待している」と述べた。
◆2020年はコロナウィルスの影響でマイナスの見通し
2020年の見通しについては、特に2020年第1四半期と第2四半期で、コロナウイルスが世界的に多大なマイナスの影響を及ぼすと予測。現時点では、世界経済に大打撃を与えるようなコロナウイルスの世界的拡散が、今年下半期まで続くとは想定していないが、「コロナウイルスの影響を今年中に完全に埋め合わせることはできないだろう」とブルーダーミュラー会長は述べている。
世界経済の成長率は2%と、2019年(2.6%)よりもさらに緩やかになると予測。また、世界の化学品生産の成長率については、リーマンショック以来、最も低い1.2%と、2019年(1.8%)を大幅に下回ると予測している。
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