16年度からスタートした米政策改革の核になるのが「地域水田農業ビジョン」の策定とその着実な実践だ。JAグループはこの地域水田農業ビジョンの実践強化に向けて全国運動を展開しているが、4月28日、JA全中はJAのトップ層が集まった「地域水田農業ビジョン実践強化全国トップセミナー」を開催(東京・虎ノ門パストラル)した。
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◆地域経済再生の視点で
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全国トップセミナーの開催あいさつで花元JA全中副会長は「集落から壮大なビジョンづくりを」と呼びかけた |
開会のあいさつでJA全中米改革戦略実践推進本部委員長の花元克巳JA全中副会長は、米政策改革は「米づくりのあるべき姿」と「JAグループが主役となる姿」の実現をめざしていると指摘。「地域水田農業ビジョン」はそうしたあるべき姿を現場からつくっていくことだとし「それぞれの集落から壮大なビジョンづくりを。自分たちの体力、知恵にあったものを作っていただくための話し合いの仲立ちをしていくのがJA」とJAの役割が重要であることを強調、また、自給率の向上も課題であることを念頭に消費者に支持される安全・安心な農産物づくりも参加者に訴えた。
同時に、地域水田農業ビジョンは、地方経済の再生にもつながる取り組みであることも指摘し「農業を中心とした地方経済のビジョンづくりでもある。日本の再生に向けてJAグループがその一端を担うのは間違いない」と地域水田農業ビジョンづくりの意義を語った。
講演では藤澤流通・マーケティング研究所の藤澤研二代表が「米をめぐる消費者・実需者ニーズと売れる米づくりのすすめ方」をテーマに話した。
◆売れる米づくりが課題
強調したのは米の需要をめぐる環境変化の把握。地域水田農業ビジョンづくりにあたってはマーケティングの視点が大事だが、そのための現状分析を厳しく行うことが大切だと参加者に訴え、「自分の産地の米を誰が食べているのか産地は把握しているか。県内で消費されているか、県外にも流通しているのか、あるいは家庭用か業務用か、など分析して対策を立てること」などを藤澤代表は指摘した。
続く事例発表では、JAいわて中央の「徹底した話し合いを通じた集落ビジョンづくり」とJA山口美祢の「金太郎飴戦略による売れる米づくり」が報告されたほか、普及員の立場からの「集落営農づくり」のノウハウや課題について報告された。
セミナーではこうした事例をもとにパネルディスカッションを行い、「集落での合意形成のためにJAは集落の構成員と同じ目線で取り組むべき」、「すぐに立派なビジョンを策定しようと思わず、できることから着実に取り組む」、「あらゆる関係機関との連携が大切」などの意見が出された。
セミナーの最後では「地域水田農業ビジョン」実践強化全国トップセミナーとしての決議を採択。全国すべての水田集落において水田営農実践組合づくりに取り組むことや、市場情報に基づく「生産・販売戦略」を策定し「売れる米づくり」に取り組むことなど、参加者は決意を新たにした。
(2004.5.11)