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【日本農薬】
国内・海外ともに発展するために 日本農薬がイタリア大手農薬会社と提携

 日本農薬は欧州での販売拡大をめざし3月26日、イタリアの大手農薬製造販売会社シプカム社の子会社であるシプカムヨーロッパ社の発行済み株式を10%取得し、同社に経営参画する。近年、海外への販売拡大に力を入れている同社に、欧州での事業戦略を聞いた。

◆イタリア・シプカム社と業務提携

3月2日、東京・日本農薬(株)で株式引受契約書に調印。(右から)神山洋一・日本農薬代表取締役社長、Nadia Gagliardini・シプカム社社長、Giovanni Affaba同社マネージングダイレクター 日本農薬は2008年には豪州のシプカムパシフィック社に出資するなど、シプカム社と業務提携を行ってきた。同社の売上高404億円のうち3割強となる132億円を海外販売であげている(平成23年9月期)。その約7割はアジア地域で、欧州は約10億円ほどとまだ小さいが、このたびの提携を機に欧州での販売を3年後には倍増させたい考えだ。
 海外での販売強化については、「近年、国内の農薬市場は頭打ち。海外へ販路を拡大しなければ企業の成長はむずかしい」(海外営業本部、以下すべて同じ)というが、国内販売が同社のビジネスの基幹分野であるというスタンスに変わりはなく、「今後は国内・海外での事業を両輪として会社を発展させたい」と強調する。

(写真)
3月2日、東京・日本農薬(株)で株式引受契約書に調印。(右から)神山洋一・日本農薬代表取締役社長、Nadia Gagliardini・シプカム社社長、Giovanni Affaba同社マネージングダイレクター


◆ニッチでも市場があれば戦える

 欧州では欧州系のグローバル企業が大きな力を持っており「独自に現地法人を立ち上げて直販をめざすのは非常に困難」だが、「グローバル企業は近年、種子事業や大型作物用の薬剤に注力する傾向がある。そういった中で、果樹・園芸用の剤はニッチかもしれないが市場ニーズは高い。また、日本のメーカーはより使いやすい剤型に変えたり、より安全性を追求したりという、付加価値を高める作業を厭わないし、その部分では非常に評価されている。十分戦える土台はある」と自信を見せる。
 シプカムヨーロッパ社はイタリア、スペイン、ポルトガル、英国、ギリシャ、ベネルクス諸国など主に南欧で農薬・種子・肥料の販売を行っている。
 日本農薬はシプカムヨーロッパ社向けにスペインで殺ダニ剤フェンピロキシメート(国内では「ダニトロン」)、イタリアで畑作・園芸用除草剤ピラフルフェンエチル(同「エコパート」、「サンダーボルト」)を供給しているが、近々、殺虫剤「アプロード」のイタリアでの再上市も視野に入ってきている。さらに、今後はシプカム社の持つ原体との混合剤の開発などもめざしている。

【会社概要】(2012年3月現在)
会社名:Sipcam Europe S.p.A.
所在地:イタリア・ミラノ市
設立:2011年7月
資本金:3690万ユーロ(約40億6000万円)
資本比率:シプカム社80%、日本農薬10%、スミ・アグロ・ヨーロッパ10%
代表者:Nadia Gagliardini
売上高:約110百万ユーロ(2011年12月期)

 

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