デュポン社は(1)食料供給、(2)エネルギー確保、(3)人と生活の保護、の3つを全事業の中核に据えている。中でも食料・農業関連事業は、年間売上高の3割となる約9000億円を占めており、年間の研究開発費も全体の6割以上を充てている(ともに11年)。
今後も新たな農薬開発などを積極的に進め、売上高で年間8〜10%ほどの成長を続けていきたい考えだ。
新剤の売り上げは、除草剤、殺虫剤、殺菌剤だけで15年までに15億ドルをめざす。この中にはすでに09年に発売した殺虫剤リナキシピル(商品名「サムコル」、「プレバゾン」など)を含む。さらに展着剤や種子処理剤などを交えれば、2019年までに10剤を上市し、2022年にはその10剤で売上高30億ドルに達する計画だ。
日本では2014年に殺虫剤Cyazypyr(サイアジピル)の上市をめざす。チョウ目、コナジラミ類、アブラムシ類に効果があり、主に野菜・果樹用として商品化する予定だ。16年には殺菌剤の上市も予定している。
ミラー氏は今後の農農業関連事業の方向性について、「より多く、より安全で、資源節約タイプの農作物を開発し社会に貢献するとともに、生産者にとっては、病害虫の抵抗性をコントロールする研究を進めていく。中でも種子処理の分野で、画期的な技術を模索している」と語った。
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会見に出席したミラー氏(左)とデュポン日本法人の後藤周司常務執行役員
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