野菜嫌いの子どももトマトだけは「好き」と答える。アンケート調査などの結果はたいていがそうだ。
タキイは「やさいの日」の8月31日に「野菜と家庭菜園に関する調査」をしたが、その結果も大人・子どもともにトマトは好きな野菜のトップだった(大人は4年連続)。「家庭菜園で作っている野菜」でもトマトはナンバー1に選ばれた。
その魅力についてはジューシーな食感、さわやかな酸味、豊富な栄養などが挙げられ、最近では美肌効果もうたわれている。
中でもおいしいトマトの代名詞とされているのが人気品種の『桃太郎トマト』で、栽培性の良さからも主流となり、25種類もの品種を展開している。
桃太郎は1985年にタキイが発売し、一躍有名となった。以下は同社がまとめたトマトの秘密や豆知識、歴史の抜粋紹介。
(写真)桃太郎ゴールド
(表)桃太郎トマトの「おいしさ」成分
◆長い年月かけた「桃太郎」開発
〈おいしさ〉
トマトの味を構成するのは甘味、酸味、うま味の3つ。おいしさを左右する最大の要因の1つが甘味だ。糖含量の高さがおいしさの前提となる。トマト特有のうま味を構成しているのはグルタミン酸。これは調味料にも使われる。
〈機能性〉
トマトにはビタミンCも多く含まれ、紫外線で疲れた肌に効果的だ。ビタミンCをたくさん含むトマトを作るには、太陽の下、光がいつぱい当たる環境が必要だ。トマトの赤い色素はリコピンという。ミニトマトには、通常のトマトよりもたくさんのビタミンCやリコピンが含まれている。
〈トマトの日〉
全国トマト工業会が制定した。10と10は語呂合わせ。同日にはJA全農おかやまが制定した『岡山県産桃太郎トマトの日』もある。
〈歴史〉
18世紀初期に渡来したが、観賞用だった。生食用生産は1940年以降に増えた。
60年代後半、樹上で完熟したトマトを長距離輸送して店頭に並べると味や香りが落ちることに消費者の不満が募るようになった。
これに対してタキイ種苗のトマト育成チームは、もぎたての甘さ、輸送に耐えうる硬さ、そして色がピンクであることを目標に新品種開発を始めた。
赤いトマトには加工用というイメージがあって当時は消費者に敬遠されたためだ。
交配を重ね、実際に栽培する。うまくいかなければ組合せをやり直す。収穫期には1日に100種類以上のトマトを食べたこともあった。
こうして79年にやっと本格的な「桃太郎」の青写真が見えてきて83年、ついに新しいトマトが完成。長い年月をかけて85年に発売となった。
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