◆「農家に利益を与える企業であれ」
全国農薬協同組合の青木邦夫理事長はあいさつで、世間一般で農薬に対する悪いイメージが先行していることに触れ、「農薬が悪者だと言われないようにしなければ、われわれの業界は生き残れない」と、改めて農薬の安全性や有用性を広くアピールする安全協の活動が重要になってきたとして、さらなる活動の充実に期待した。
安全協の田中康貴会長は、世界的な食糧増産ニーズをうけて「世界中で農薬は成長産業」となっている一方で、国内では農村の高齢化などを背景に「厳しい環境が続いている」と述べ、農薬ビジネスを進める上では「農業、農家に利益を与える企業であれ」という信念のもとで活動してほしいと会員らに呼びかけた。
集会では役員の改選も行われたが、田中康貴会長、上田修志氏((株)金星商会)、武市康則氏(山陽薬品株)の両副会長とも再任となった。
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上:青木邦夫・全農薬理事長
下:田中康貴・安全協会長
◆25年農薬シンポジウムは福井、兵庫、高知
集会では、平成25年度の事業計画などを承認した。
今年度の事業計画の主な内容としては、[1]農薬安全コンサルタントのレベルアップと上級コンサルタント研修の実施、[2]助成金配賦方法の変更、[3]2月に予定している地区会議での1日2回の研修会の実施、などがある。
[1]は、コンサルタントの資質向上をめざすための取り組みだ。これまで一度研修を受けてコンサルタントの資格を取っても、その後のフォローアップなどをしてこなかったことの反省が背景にある。
[2]は、安全協活動の活発化をねらったものだ。具体的には、これまで会員数や組合員数に応じて定額で決められていた活動助成金・講習会助成金などを、さらに、地区会議への出席率や指導農薬講習会の実施状況などを評価して配分する方式に変更する。
そのほか、全国集会では岐阜、千葉、岩手の3会場で計400人を集めて開催された農薬シンポジウム、7月に山形、石川の2県で各地の販売店やJAなどを巡回した農薬危害防止運動期間の活動報告があった。
岩手の農薬シンポジウムでは消費者代表と登壇した主婦が、「農薬は作物のお薬だということを、初めて実感した。もっとテレビなどで農薬の安全性を紹介してくれれば、世の中のイメージは変わるだろう」と、高く評価したという。
来年で5年目となる農薬シンポジウムは、福井、兵庫、高知の3県で実施することが決まっている。
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農薬シンポジウムの活動報告が行われた
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