以前から、一部の評論家は、市場原理主義の政策を採り入れ、企業が儲かれば、そのおこぼれが国民全体に滴れ落ちる、という説を流していた。
だが事実はそうならなかった。企業は儲かったが、利益は社内に溜め込むだけで、労働者に分けなかった。そして、いまや社内留保は史上最大級の金額になったが、賃金は下がる一方である。このことを、多くの労働者は身にしみて実感している。だから、市場原理主義に対して強い疑問をもっている。
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TPPは、市場原理主義の究極の貿易体制である。貿易体制だけではない。国内制度も市場原理主義の一色に染め上げるものである。
そうして、農業を犠牲にして、食糧自給率を下げ、また、病弱者を犠牲にして、病院を利益追求の場にし、さらに、食の安全を脅かそうとしている。
そうしたことは、これから始まることではない。すでに始まっていて、TPPによって加速されるのである。このことを大多数の国民は、日常的に体感している。だからTPPに強い懸念をもっているし、反対しているのである。
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野田佳彦首相は、昨年の秋に「十分な国民的な議論を経た上で・・・TPPについての結論を得ていく」といった。ここでいう「国民」とは経団連などの企業経営者をさしているのか、それとも、そうでない大多数の国民をさしているのか。
近いうちに、首相はTPP参加するか否か、の決断をするかもしれない。その結果によっては、民主主義の原理にしたがって、国民から政治生命を絶たれるかもしれない。
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(前回 食糧安保を軽視する朝日新聞)
(前々回 TPPは東太平洋FTAにとどめよ)
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