首相は、来週18日と19日に行われるG20の会合か、その前にTPP参加を表明するかも知れない。この時期を逃せば、しばらくの間その機会はない、と考えているようだ。
このように、TPP問題は、今週から来週にかけて、大きな山場を迎えようとしている。この山場をどのようにして乗りこえるか。
ちょうどこの時期は、21日までの国会の会期末と重なる。政治の全体にとって重大な時期である。首相が参加表明をするのか、しないのか、は政局の展開に大きく影響するだろう。
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だが、仮に、参加表明をしたからといって、この問題に終止符が打たれるわけではない。推進派が大きな一歩を進めるのはたしかだが、次の問題がひかえている。アメリカの承認がえられるかどうか、が次の問題になる。その過程で、日本は多くの譲歩を迫られるだろう。
仮に、アメリカの承認が得られたとしても、それでも終わりではない。それからがTPPの本交渉になって、日本の譲歩が追加される。まさにアリ地獄になる。
こうした外交交渉を、TPPに前のめりの、いまの外相に託していいのだろうか。
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また、仮に、参加表明をしなかったとしても、だからといって、反対派の勝利で終わった、というわけではない。反対派が大きく前進することはたしかだが、しかし、推進派があきらめた訳ではない。先送りしただけで、やがて巻き返しをはかるだろう。
最終的な勝利をおさめるには、大多数の国民の意思に反して、経団連に「お誓い申し上げ」る首相に断念を迫らねばならないし、首相を後押ししている経団連に断念させねばならない。
そうなったときに、はじめて反対派の勝利がくる。それまで反対運動を続けねばならな
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政治過程とは、そうしたものである。今週から来週にかけての山場を越えれば、すべてが終わる、というものではない。運動のなかで、どちらかが優勢になった、という程度のものだ、といってもいい。そのあとで逆転することもできる。底力があれば、それは充分にできる。
だから、いずれにしても、山場をこえた来週以後は、底力と底力との争いになる。手をかえ、品をかえた激しいぶつかり合いになる。
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それは、農業や医療や保健や国内の諸制度を犠牲にして、TPPに加盟すれば、経済を発展できるかできないか、国益になるかどうか、という論争であり、それらを犠牲にすること自体が、国益に沿うことかどうか、という論争である。
こうした本格的な論争が、今後も続くし、運動が続くだろう。それを断念するわけにはいかない。
【首相の経団連総会での発言はココから】
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(前回 「カザン宣言」批判)
(前々回 TPP参加に反対と賛成の団体一覧表)
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