東京新聞は、以前から取り上げて報道していたが、30日は一面トップで大きく報道した。ネットでも、デモの録画を大量に流している。その他の多くのマスコミは、これまで無視してきたが、ここまで大きなデモになると、報道せざるをえなくなった。
国会でも、阿部知子議員(社民、衆、南関東)や斉藤やすのり議員(きづな、衆、宮城2)が、このデモについて質問した。それに対して、野田佳彦首相(民、衆、千葉4)は、「シュプレヒコールもよく聞こえております」と答えていたし、「私の地元の船橋でも、そういう活動があるということは、よく承知しております」と言っていた。
女性たちは、原発推進派の国会議員を一覧表にしてネットで流し、次の選挙で落選させよう、という運動を始めるようだ。
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日米安保問題のころをふりかえると、そのころまで、日本の政治は労働者と資本家が対峙するなかで、その方向を決めていた。労働組合と経営者団体である。その中心になっている総評と経団連である。だがその後、労働者の力は弱体化し、資本家はますます力をつけてきた。
総評は、その後、連合になって変質し、いまや、ごく一部の大企業の労働組合の利益を代表する組織になってしまったようだ。TPP反対の先頭に立つでもなく、28日には、古賀伸明会長が自民党の会合で講演し、自民党を支持政党にすることを示唆するまでになった。
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労働組合が弱体化するにつれて、経団連がその勢いを増しつつある。野田首相は首相就任後、まっ先に経団連に挨拶に行ったし、その後、経団連は、あらゆる政治課題に声高に口出しし、政治を支配しようとしている。TPP参加や、消費増税や原発再稼動の急先鋒になっている。そして、多くのマスコミと政治家がそれに追随している。
以前なら、労働組合がそれに立ち向かったのだが、いまや、そうした力はない。それに代わっているのが、「あじさい革命」に参加しているような、若いサラリーマンや若いお母さんや学生などの、非組織の国民である。
そして、いまや、こうした非組織の国民が政治を動かしている。それを小沢一郎議員(民、衆、岩手4)など、現場をよく見ている政治家は敏感に感じとっている。
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こうした非組織の国民運動を組織するのは、政党の役割だが、そうした政党は、まだまだ大きく育っていない。
それは「アラブの春」でもみられる。先日のエジプトの大統領選挙では、デモに参加した人たちが擁立した候補者は、決戦投票に残ることさえ出来なかった。
「あじさい革命」は、今後どのように展開するのだろうか。7月16日と29日にも大規模なデモが計画されている。日本の政治は、いま、大きな転換期を迎えようとしている。
(前回 公助か協助か自助か―当面する農政の対立軸 )
(前々回 TPPと原発再開の安全性を無視した「経済優先」 )
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