コラム

「正義派の農政論」

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【森島 賢】
消費増税、原発、TPP、オスプレイ

 表題は、野田佳彦(衆、千葉4)内閣が直面する政治課題である。どれ一つをとっても、内閣を揺るがすほどの重大問題である。
 消費増税に反対する与党の民主党内の動きは、まだまだ収まっていない。梅雨は明けたというのに、五月雨のように離党者が続いている。国会で法律が成立しても、反対運動が終わることはないだろう。
 このままでは、再来年4月に予定されている3%増税の実施まで、反対運動が続くだろう。その後、さらに2%増税するまでの1年半の間、反対運動は終息しないだろう。
 反消費増税の主張を、大衆迎合主義だ、として批判する評論家がいる。だが、そうではない。それは、官僚が支配する旧来の政治体制に反対し、真の政治主導を目指している。
 そして、反増税の主張は、かつての百姓一揆がそうだったように、強烈な政治的起爆力をもっている。最近では、河村たかし名古屋市長や、橋下徹大阪市長が、それを証明した。

 原発の「再稼動反対」を叫ぶデモは、先週の金曜日にも、首相官邸前で行われた。これには、鳩山由紀夫(衆、北海道9)元首相も参加し、藤村修(衆、大阪7)官房長官に対して、多くの国民がもっている再稼動への懸念の声を伝えた。しかし、内閣や民主党の幹部は、不快感をあらわにするだけだった。
 また、来週の29日の日曜日には、国会周辺で脱原発の大規模なデモが計画されている。今後、政府が再稼動をもくろむ原発は全国の各地にある。その度ごとに、原発反対のデモが広がるだろう。
 こうした国民の声に敏感な小沢一郎(衆、岩手4)代表の新党は、反消費増税と反原発の2つを政策の柱に据えている。これに反TPPを加えるようだ。

 TPP加盟問題は、消費増税と原発再稼動の2つの問題に隠れて、いまのところ、目立たなくなっている。だが、政府は諦めたわけではない。一部のマスコミは、首相が来月中に突如として、TPP参加を表明するかもしれない、と報じている。情報を開示しないまま、また、国民的な反対論を無視して、突然、TPP参加を決めてしまうかも知れない。
 そうなれば、農業が壊滅し、医療制度が崩壊するなど、日本社会は根底から破壊されるだろう。警戒を怠ってはならない。

 これらの大問題に加えて、垂直離着陸機オスプレイの問題が起きている。このオスプレイは、いままで多くの事故を起こし、乗員が大勢死亡している。アメリカでは、未亡人製造機という汚名をもっている。
 そのオスプレイが、沖縄に配備されようとしている。今朝、岩国に到着した。
 不安を抱いているのは、沖縄と岩国だけではない。全国知事会も、大きな懸念を表明している。それは、下の図で示したように、この飛行訓練を、北は青森まで、全国の各地で行おうとしているからである。

図は、オスプレイの訓練飛行経路。沖縄防衛局ホームページより。当該資料の79ページに記載
は、オスプレイの訓練飛行経路。沖縄防衛局ホームページより。当該資料の79ページに記載)

 

 図から分かるように、この計画のまま、オスプレイが沖縄に配備され、飛行訓練をすれば、沖縄だけでなく、また、訓練地だけでもなく、沖縄基地から訓練地へ移動するまでの、ほとんど全国の各地が直接に危険にさらされる。
 首都圏でも移動中のオスプレイが姿を見せ、東京を危険にさらすかもしれない。このままで不安が収まるとは思えない。
 この問題の処理を間違えば、それだけでも、野田内閣の命取りになりかねない。

 このように重大な問題をいくつも抱え、その解決を図れないまま、いよいよ、野田内閣の命運は尽きようとしている。不信任案がいつ可決されてもおかしくない。
 このような内閣に、問題の解決を任せるわけにはいかない。一刻も早く衆議院を解散し、総選挙を行って、これらの問題について、国民の意志を問うべきである。問題を先送りしてはならない。それだけ長く政治の空白がつづくし、それだけ長く沖縄や福島の苦難がつづく。
 次の総選挙で、各党は、これらの問題に対する政策を公約に掲げるだろう。そして、国民の厳正な審判を待たねばならない。


(前回 過去最大規模の反原発集会

(前々回 朝日新聞の不勉強 )

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(2012.07.23)