野田佳彦(衆、千葉4)首相は、16日、総選挙で訴える5つの政策の第2番目に、TPP推進を明言した。推進を主張する財界と連合の圧力に屈したのだろう。
民主党にとって最大の支持団体である連合は、TPP反対の候補者は推薦しないようだ。衰えたとはいえ、連合の圧力には弱いのだろう。
一方、全中は16日「TPP交渉参加反対を明確にした各候補者、政党を支援する」と言った。
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各政党の、TPPに対する政策を上の表で示した。
民主党は、推進を主張している。国益を守ることが大前提だ、とはいうが、誰にとっての国益か。食糧や医療を守ることは国益でなくて、大企業や、大企業の労働組合の利益だけが国益なのか。その説明がなければ、国益を守る、というのは空文になるか、ごまかしになる。
みんなの党と新党改革の政策は、国際競争に勝ち抜くために、TPPに参加して、市場原理主義を取り入れよ、というものである。市場原理主義は、日本を台無しにし、大多数の国民から嫌われている、ひと昔前の考えである。
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政府与党の国民新党は、市場原理主義に反対とは言っているが、TPP反対と明言していない。与党で居続けたいのだろう、と勘ぐられてもしかたがない。
日本維新の会は、みんなの党と同じように、交渉に参加して、その結果、国益を害するようになれば撤退すればいい、という。それは国際的無責任というべきである。国際社会で恥をかく。
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自民党は、関税ゼロの原則に例外を認めなければ反対という。条件つきの反対である。しかし、韓米FTAのように、コメだけ関税を認めればいい、というものではない。
多くの国民が反対しているのは、TPPが農業を壊滅させるだけでなく、食の安全を脅かすし、日本の医療制度を崩壊させるからである。さらにTPPに含まれるISD条項を使って、アメリカがカナダやメキシコとの間で結ばれたFTAで実際に行っているように、相手国の国家主権を侵害するからである。
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このように、TPPに参加すべし、という政党は少ないし、条件つきの反対も少ない。その上、参加すべし、という政党の中にもTPP反対の人が多い。
首相は、こうした声に耳を傾けねばならない。間違った信念などに基づいて、夢の中でもTPP参加を表明してはならない。
(前回 新しい農業攻撃が始まった)
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