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【名古屋大学大学院 教授】
松岡 信 氏

 世界的な食料不足に備えるため、さらにコメの生産コスト削減のため。イネゲノムを活用した「限界を超える多収米」の研究開発について、7月21日のシンポジウム「ここまできた!お米の研究最前線」で発表した。

 イネは穂軸から数回枝分かれして花をつける。枝分かれのことを「枝梗(しこう)」と呼び、回数に応じて1次枝梗、2次枝梗とあるが、この枝梗数が多ければ着粒数も増え収量があがる。
 インディカ種の多収米「ハバタキ」は、コシヒカリの2倍もの種をつけるが、これは2次枝梗数が多いためだ。ハバタキの穂の分枝構造を制御している4つの遺伝子群(QTL)をコシヒカリに足すことで、種数が多いコシヒカリをデザインした。
 また、名古屋大学は2010年5月、1次枝梗数を増やすWFP遺伝子を同定した。2つの遺伝子を導入することで、1穂あたり510粒が実る超多収イネを開発した。
 今後は、栽培には適さない野生イネの優良遺伝子や、耐病性・耐ストレス性なども付加し、「限界を超える多収米」の開発・育成をさらに推進していく方針だ。

超多収米、高い耐病性でおいしいコメなどのゲノム研究最前線
多収量イネの遺伝情報を解析 食料危機回避へ期待

(2010.08.09)