今回の閣僚会合は定例会合で現在交渉中のドーハ・ラウンドがテーマではない。しかし、9月の米国・ピッツバーグでのG20金融サミットや、その後のAPEC首脳会合で2010年中の合意が決意されておりこの閣僚会合を機に交渉が加速されることも懸念されている。
ラミー事務局長との会談で赤松農相は日本の立場はより自由な貿易を実現していくことと各国首脳が約束した2010年中の交渉妥結をめざすことが基本と話したうえで「農業分野については輸出国も輸入国も成り立っていくようなセンシティビティが必要。それにもぜひ配慮した解決が望ましい」と強調した。
そのほか、重要品目の数、関税割当の新設の必要性、上限関税導入は認められないことなど、具体的な数字には触れなかったものの日本の基本的な立場と多様な農業の共存の重要性を訴えたという。
これに対してラミー事務局長は、各国の利害があって交渉は必ずしも順調にいっているわけではないが「より精力的に努力し合って来年の第1四半期をめどに今までの交渉の評価やとりまとめができればと思っている」と話したという。また、日本の主張も理解しているとしたうえで「そのこととモダリティが一緒に確立できれば。やりようによってはできると思う」との趣旨の発言もあった。
同席した武正公一外務副大臣は「日本の外交努力に期待する、と最後に強く言っていた」という。
ラミー事務局長の発言について、来年の早期に閣僚会合を開くイメージなのかと問われた赤松農相は「そういうことではないと思う。事務レベルも9月から交渉をしている。2010年中(の妥結)ということになれば、論点整理や問題点、足枷は何か、ひとつの整理が必要だろうから、そういう意味でこの間の取り組みの評価をやってみると理解した」と述べたほか、日本の外交努力期待する、との発言にも、譲歩を迫られたということはないとの認識を示した。
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