平成23肥料年度秋肥の主要品目の価格変動率(22肥春肥対比)は、表の通りだが、基準銘柄の高度化成一般(15-15-15)で約3.2%の値上がりとなる。
主要品目の状況は次の通り。
肥料全般については、世界的な人口の増加、中国やインドにおける食生活の向上で穀物需要が増加し、穀物価格が上昇しているが、穀物需要の増加によって肥料需要も拡大。りん酸、加里のように原料資源が偏在してものは、国際市況が値上がりしている。
過石、熔燐などのりん酸質肥料は、原料のりん鉱石の値上げや原油価格高騰による重油、包装資材資材が値上がりしている。
塩化加里は、円高や弱含みの海上運賃を最大限に反映させたが、国際市況が大幅に上昇しているため値上げせざるをえなかった。
尿素などの窒素質肥料は、原油価格が高騰し、原料となるアンモニア、ナフサ価格などが上昇していることが値上げの主要な原因だ。
複合肥料についても、上記の原料代値上がりや原油価格の高騰による重油、包装資材などの値上がりから、値上げとなった。
◆「PKセーブ」でコストを抑制
全農では、原油の高止まりに加えて、加里、りん酸を中心に肥料海外原料は世界的な需要回復に伴い、「再び値上がり傾向」となっているとし、原料の安定確保に全力をあげるとともに、引き続き「施肥コスト抑制」の取り組みを強めていくことにしている。
とりわけ、土壌診断にもとづく低成分銘柄「PKセーブ」の普及に力をいれる。「PKセーブ」については、全国統一銘柄に加え、ブロック毎に現場に即した地域統一銘柄を設定して取り組みを促進していくことにしている。
◆アラジン肥料の合弁を解消
なお、平成9年から稼動していた「アラジン肥料」については、現地で低コストの化成肥料を安定的に調達するという所期の目的が果たせなくなったと判断し、全農が保有していた日本・ヨルダン肥料(株)の株式をヨルダン側に譲渡し、今年2月の合弁契約を解消した。
全農では今後、アラジン肥料の代替として「PKセーブ」などの低成分銘柄を普及していくことにしている。
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