現在、日本における65歳以上の高齢者は2980万人、総人口の23.3%(総務省推計)となっており、高齢社会が本格化するとともに、高齢者の単身世帯が多く存在している。
こうした状況のなかで全国の生協では、買い物弱者問題に対応した「移動店舗」の運営、居住エリアと生協店舗を結ぶ「買い物バス」の運行、高齢化が進む公営団地内などへの宅配商品の受け渡し場所「地域ステーション」の設置など、店舗・宅配事業を展開してきたノウハウに、福祉の視点を取り入れたさまざまな事業を展開している。
「夕食宅配」は、07年6月に山口県を拠点とするコープやまぐちが、県内の深刻な高齢化を背景に、生協として高齢者支援に何ができるかを検討した結果、全国の生協で初めて事業としてスタートしたもの。
その後、09年には生協ひろしま、おかやまコープ、大阪いずみ市民生協へと広がり、10年は7生協、今年11年には13生協が新たに事業を開始。8月末現在で、22都道府県の24生協で事業展開され、1日当たり2万5000食が全国で提供されるまでになった。
この「夕食宅配」は基本的には、管理栄養士が監修した栄養バランスのとれた献立を、1食当たり500〜600円の価格帯を中心に月曜から金曜までの週5日、「お弁当コース」やおかずだけを届ける「おかずコース」などを用意して提供している。
多くの生協では毎日(平日)届けることで、利用者の安否確認や見守り活動を兼ねており、万一異常を発見した場合には、事前に把握した緊急連絡先に速やかに連絡することにしている。
基本的には高齢者が対象だが、家族が入院したときや退院後、育児や仕事などで食事の準備が困難な人など、幅広い世代に利用されていると日本生協連では分析している。また「離れて暮らす親に生協から弁当を届けて欲しい」といった子ども世代からの申し込みも多くあるという。
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