◆イメージは回復
今回の調査は9月に北京、上海、香港の20代以上の中高所得者の男女3000人を対象にインターネットで実施。あわせて同3都市で日本食品の購入経験がある男女32人へグループインタビューも行った。
震災後の日本からの輸入食品へのイメージ変化について聞いたところ、中国大陸(北京・上海)、香港ともに「一時的に悪い方向に変わったが、元に戻った」がそれぞれ24.8%、26.4%でもっとも高く、次に「変わらない」20.4%、19.8%という結果となった。
グループインタビューでイメージが「良い方向に変わった」という人からは「問題があれば明確に伝える」という正直な対応を評価する声や「さらに厳重な検査を行うと思うので以前より安心安全だと信じている」といった意見があった。
一方、「悪い方向に変わった」という意見として子育て中の女性から日本産の粉ミルクを心配し「今はオーストラリア産に切り替えている」との声があった。
日本食のイメージ変化については「変わらない」がもっとも高く、日本からの輸入食品に比べて日本料理店などへの影響は弱い。現地の日本料理店では必ずしも日本からの輸入食品が使われているわけではないことが認知されているためだとみられる。
日本からの輸入食品のイメージを回復する方法については「日本の政府関係機関や第三者機関などによる放射能検査の実施」が中国大陸、香港ともに71.5%、63.4%でもっとも高く、「放射能全般に関する情報提供」、「原発事故から一定期間経過すること」が4割強となっている。
◆中国産より「安全」
中国大陸での日本産に対するイメージの上位3位は「品質がよい」(46.9%)、「見た目がよい」(43.4%)、「おいしい」(39.6%)となっている。
5位の「安全である」は20年7月に実施した前回調査では日本産よりも中国産に対するイメージのほうが高かったが、今回は逆転。日本の「安全」イメージは23.4%から27.7%に上昇し、逆に中国は27.3%から12.4%に下がった。これについて20年9月に中国で発覚した粉ミルクへのメラミン混入事件以降、たびたび報じられた食品の安全をゆるがす事件が影響したと見ている。
他国産との比較でも「安全である」はEU産、アメリカ産に次ぐ評価となっている。
香港の上位3位は「品質がよい」(63.7%)、「高級感がある」(56.8%)、「見た目がよい」(56.5%)となっている。「安全である」は香港産に次ぐ高い評価で、日本産に対するイメージは全体的に中国大陸よりも高い。
同公庫では「震災後でも信頼の根強さは予想外だった。日本ブランドへの信頼がもたれていることが裏付けされた」としている。
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