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「情報不足」がキーワード 「TPP」アンケートの詳細分析  JC総研

 JC総研は昨年11月、TPP(環太平洋経済連携協定)参加に賛成か反対かのアンケート調査をしたが、その後、これに分析を加えるなどして2月8日、主任研究員藤本恭展氏がレポートをまとめた。
(※ 本文中のグラフはクリックすると大きな画像が出ます)

 TPPに関して政府の情報提供は不十分とされるが、レポートでも賛否両派が共通して「情報不足」を問題にした。この調査結果ではTPPのことを知らない人は4割強にのぼる。設問では、この人たちには参加への賛否を聞かなかった。
 自由回答によると、賛成派は「とにかく交渉して情報を得てから判断すればよい」と考え、反対派は「情報がきちんと把握できない限り参加すべきでない」とした。
 総体的には「TPPはデメリットよりもメリットのほうが多い」と考えられており「農業や医療で心配な面はある」としながら「それでも外に打って出るべき」との意見が大半だった。
 これに対し「米国主導でことが進む現状では、わが国のためになるTPPにならない」とか「米国の言いなりに農業や医療・保険などが侵略されるのではメリットがない」との声も多かった。
 分析の「まとめ」の中では、米国など多くの参加国は相当の情報を開示し、それをしない政府に対しては労働組合や市民団体などが開示を強く求めていると強調した。
 アンケート結果では、参加賛成のほうが多いが、それよりも「情報不足のため判断できない」人たちが多く、「わからない」を加えると約44%にもなる。
 今後、これらの人々がどう判断するか、政府がどういう情報を提供するかによって結果は大きく変わる可能性がある。
 レポートは「まとめ」の中で「野田佳彦首相が事前交渉の開始を諸外国に宣言した以上、交渉状況は正確に、迅速に国民に開示すべきである」と求めている。

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◆高所得階層ほど参加賛成増える

 TPP参加への賛否を属性別にみると、賛成が1番多いのが既婚男性の53%、次いで単身男性、主婦、単身女性の順。反対に参加反対が多い順は単身男性の27%。単身男性は現状でも厳しい経済状況が、さらに厳しくなると考える人が多いためと推測される。また女性には情報不足の影響が強いとされる。
 年代別にみると、若年層ほど賛成が少ない。特に20代以下では反対のほうが多い。
 エリア別では、農業分野で最大の影響を受けるとみられる北海道ブロックが1番賛成の割合が少なく、反対の割合が多い。反対20%超のエリアは北海道・北関東・甲信越。反対が最小で賛成が多いエリアは京浜ブロックだ。
会社員(管理職)、会社役員・経営者、無職・定年退職などが多く含まれることが要因だ。
 年収別にみると、所得が高くなるほど賛成の割合が増加している。低所得者はTPP参加によって自分の所得がさらに減るとの不安が大きいと思われる。世帯年収100万円未満の階層では賛成の割合が比較的高めである。経済活性化=所得増加への期待と共に、輸入品価格の低下を期待する賛成派が多数と思われる。
 いずれにしてもTPPが高所得者だけを利するようなものであれば、現時点では判断できないとしている多くの人が反対に回ると思われる。

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