◆行政に訴え国民にアピール
「ポリシーブック」とは自分たちのめざす日本農業のあり方を組織内外に発信するツール、つまり青年部盟友による手作りの政策集だ。作成には盟友自らが参加し、日頃の営農に対する課題や地域活動で抱える課題など一人ひとりの考えや想いを出し合い、その解決策を盟友同士で議論しながら積み上げて作る。
ポリシーブックの役割は(1)農政活動に活用し行政などに自分たちの意見を訴える政策提言であるが、同時に(2)自分たちの行動目標でもある。ただ単に要望をするだけでなく、自分たちの努力目標を示すことで地域住民や消費者にも政策への理解や信頼を得るためである。
◆安定的な制度構築のために
全青協がポリシーブックに取り組むきっかけとなったのが3年前の民主党への政権交代。その翌年にはTPPへの参加検討が突如表明されるなど、政治主導による政権運営がすすめられるなかで、農業者の立場として自らが考えを持ち、その意見を国会議員に働きかけていく農政運動が重要だとの意識が強まった。
これまでのような政党を支持する形での選挙協力や、各党・政府が示した政策に対して要望するといった活動だけでは安定した農業政策の実現はのぞめず、今後も起こるであろう政権交代のたびに政策が変わればそれに振り回されることになる。
こういった懸念から、自分たちで考える長期的な農業のあり方をポリシーブックとして示すことで、安定的な農業政策を構築していくことが有効な手段と位置づけている。
◆ボトムアップによる作成
全青協は農政活動を地域コミュニティー活動の延長であると位置づけ、ポリシーブックの作成は現場の声を積みあげた「ボトムアップ」による作成プロセスを重視している。
そのため、ポリシーブックの大元となるのは各単組で地元の課題に即して作成する「単組版」だ。JAや地域との意見交換、地方議会・議員への要請の際に活用するものとして、地元選出の政治家や地域住民に青年部のスタンスを表明していく基礎となる。そしてこの単組版を「都道府県版」として各県段階でまとめ、それらを一つに集約したものが「全国版」となる。
ポリシーブックの作成は一度きりではない。毎年内容を見直し、再度盟友同士で議論し更新していくものであり、このプロセスそのものが盟友の成長や、組織の強化や活性化にもつながるとして期待される。
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