生活クラブ連合会は原発事故以降、食品中の放射性物質への対応は国の暫定規制値に合わせてきた。国は4月1日から新基準値での適用を始めるが、生活クラブ連合会では国より低い数値を自主基準とし、食品区分は国の▽飲料水▽牛乳▽乳児用食品▽一般食品の4区分に対し、食べる回数や量の多い食品は低い数値にすべきとの考えから一般食品を▽米▽鶏卵、鶏・豚・牛肉▽青果物、魚介類、加工食品▽キノコ類、と細かく区分した。
生活クラブ連合会では昨年9月以降、独自に全品目検査を始め、これまで1万5000点を超える検査を行ってきたことから、この実績を踏まえて自主基準値の設定に踏み切った。基準値の考え方として、内部被曝のみを想定して定めている国の新基準値に対し外部被曝も考慮すべきであるとのことから、年間1ミリシーベルトとする被曝量の限度を内部被曝と外部被曝との合算から設定した。
自主基準を設定することで問題となるのは万が一、国の基準値以下でも自主基準を上回ったものが検出された場合だ。こういった補償については生産者との話し合いによって検討し、8月をめどに決定したいとしており、現段階での自主基準はあくまでも「暫定」であるとしている。
◆消費者に誤解与えない指導を
一方、JA全中は4月1日から施行となる国の新基準値に対し、設定根拠が国民に理解されておらず、生産者や消費者に大きな不安と混乱を生じさせているとして政府への要請事項を3月の理事会で決定した。
要請事項のなかでは、自治体や流通関係者が新基準値より著しく厳しい自主基準値を設定することで生産・流通・消費段階での混乱を招かないよう指導することや、新基準値以下にもかかわらず自主回収指示など消費者に誤解を助長させることのないよう適切な指導を行うことなどを求めている。
パルシステムに続いて生活クラブ連合会も国の基準値を下回る自主基準を設定したが、それは本当に「安全」を担保するものなのか―、これからも本紙では考えていく。
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