「キリン絆プロジェクト」は主に東北3県での復興活動に対し、3年間で総計60億円を提供することとしている。このうち約4億円が「東北『復耕』サポート」として、農業再開のための農機購入資金の提供に充てられる。
支援は組織的で、地域に密着した活動をしている生産組合や集落営農組織などを対象に、地元のJAが中古品のリユースや農機メーカーの展示用実演機などを安価で仕入れて、それを贈呈する形で行われる。
この支援の第一弾として、JA仙台を通じて農機を贈呈されたのが、宮城県の沿岸部にある七ヶ浜生産組合だ。主な生産品は水稲と大豆で、震災以前は24.6haで大豆を作付し、収穫した大豆は町内の豆腐屋に供給するなど地産地消の取り組みを進めていたが、震災により管内の農地はほぼ100%、農機もほとんどが浸水・流出などの被害を受けた。
この日、七ヶ浜生産組合には水田の除塩作業や大豆作付などの目的で約3200万円の資金が提供され、田植機2台、トラクター2台、コンバイン3台、乗用管理機1台とアタッチメント7台の計15台の農機が贈呈された。贈呈式に出席した生産組合の佐藤太郎組合長は、この支援により24年度は約5haで大豆栽培ができるようになり、25年からは水稲の作付も復旧できる見通しがついたとして、感謝を述べた。
同プロジェクトでは6月までをめどに、岩手、宮城、福島の各被災地で合計300台ほどの農機支援を行う予定だ。
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上:贈呈式にて。トラクターに乗っているのが佐藤太郎・七ヶ浜生産組合組合長、(前列左から)千葉和典・JA全農みやぎ県本部長、高橋尚登・キリンビール常務取締役、高野秀策・JA仙台代表理事組合長、高橋陽子・日本フィランソロピー協会理事長
下:贈呈された中古農機の一部
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