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消費税、農産物はゼロ税率に! 新世紀JA研究会が第12回セミナー

 新世紀JA研究会は6月14〜15日の両日、JA鳥取中央で第12回セミナーを開いた。「地域おこしのマンパワー 食と農による地域活性化」のテーマのもと、全国から約130人が参加した。地域づくりの事例や消費税問題への提言など5人の講演があったほか、政府やJAグループ全国連に対し、秋に予定されているJA全国大会決議への要望、消費税対策、TPP断固反対、震災からの復興と再生可能エネルギー政策の推進などを盛り込んだ全7項目の大会アピール(別掲)を満場一致で可決した。

セミナー2日目の講演会の様子。消費税問題について講演する石原氏
(写真はセミナー2日目の講演会の様子)

◆マンパワーの掘り起こしに全力を

鈴木昭雄・新世紀JA研究会代表(JA東西しらかわ代表理事組合長) 新世紀JA研究会は、全国各地のJA役職員同士が密に意見・情報交換をすることで、JA同士のヨコの連携を強化し、さまざまな課題の解決をめざそうという自主的組織だ。
 鈴木昭雄代表(JA東西しらかわ代表理事組合長)は、セミナー冒頭で「JAグループは系統組織の強さや規律は連合会を中心にうまく組織化されているが、一方でJA同士の連携はいまだに弱い」としてJA間の連携を強化しようと呼びかけた。また今セミナーのテーマについては、「マンパワーの掘り起こし、育成は今、JAが全力をあげて取り組まなければならない課題だ」として、人づくりの重要性を強調した。
高見俊男・JA鳥取県中央会会長 来賓ではJA鳥取県中央会の高見俊雄会長が、JAグループ鳥取の直売所「わったいな」などを紹介し、「新規就農者を育成し世代交代を図るのが喫緊の課題。県域JAに向けて全力で取り組んでいる」と報告した。

(写真)
上:鈴木昭雄・新世紀JA研究会代表(JA東西しらかわ代表理事組合長)
下:高見俊男・JA鳥取県中央会会長


◆町づくりの原点は人づくり

福山巌・JA鳥取中央代表理事組合長 開催地のJA鳥取中央からは福山巌代表理事組合長が基調講演した。
 同JAの学校給食部会による地産地消と食農教育への取り組み、二十世紀ナシやスイカの輸出、農協観光と連携した「猫の手援農隊」による全国の消費者との交流事業などを紹介し、「農業は地域活性化の原動力。食と農こそが農協再生への道しるべになる」と提言した。
 「離島発!地域再生」をテーマに行政の取り組みを紹介したのは、島根県海士町の山内道雄町長だ。山内町長の発表は、行政改革や産業振興策の推進により、過疎化や財政悪化、合併問題などで揺れていた離島を魅力ある町に変えた経緯を紹介するものだったが、そこで強調されたことは「人づくり」の重要性。いま、全国のJAが抱える課題とその解決に示唆を与える内容だった。
山内道雄・島根県海士町町長 山内町長が就任したのは平成14年。近隣の離島との合併を拒否し、「出向く行政」を掲げて行政サービスを改革し、地域資源を掘り起こして「島じゃ常識 さざえカレー」や「いわがき 春香」など新たな加工品や品種を開発して島独自のブランドを育成した。その結果、役場の職員にしろ起業家にしろ、いまや全国から優秀な若者が挙って離島へ働きに来るようになったことを述べ、「町づくりの原点は人づくり。人の力がそのまま地域の力になる。自分たちの地域は自分たちで築き、守る、という原点に立つことが何より大事だ」と強調した。

(写真)
上:福山巌・JA鳥取中央代表理事組合長
下:山内道雄・島根県海士町町長

◆JAはもっと税制に関心を!

石原健二・元立教大学教授 消費税の問題とその影響について「これからの農業、JAの経営を一変させる重大な事件だ」として、JAに注意喚起を呼びかけたのは元立教大学教授の石原健二氏だ。
 石原氏は、日本の消費税が納税義務者を「事業者」とする直接税であり、逆累進性(所得の低いものほど税率が高くなる)への緩和策がないなど種々の問題があり、それにより滞納率が最も高い税金であること、また、欧州ではすべての国で軽減税率か、または食品などの生活必需品へのゼロ税率が導入されていることなどを紹介した。
 さらに、「農業者が消費税を計算する際、多くの場合は、簡易課税制度を利用して7割のみなし仕入れ率控除を使って計算しているが、7割以上の経費がかかっている場合が多く、しっかり計算すれば納税額は抑えられる。まさにJAの指導力が求められているのではないか」との課題を指摘。今後、ますます農業の法人化や集落営農の組織化が進めば、免税対象でなくなる売上1000万円以上の組合員が増え、消費税の負担は増していくだろうとの見方を示し、「JAの人たちはもっと税制を学ぶべきだ。そうしなければ、消費税のために経営が立ち行かなくなる農業者を救えない」と強調した。

(写真)
石原健二・元立教大学教授

nous1206180711.gif セミナーでの講演会終了後は、JA鳥取中央の大栄西瓜選果場や、直売所「旬鮮プラザ『満菜館』」などを視察した。同JAは9カ所の直売所を開いているが、店長はすべて女性。女性ならではの感性で、直売所を食農教育や消費者交流の場として活用しているという。
 研究会の次回セミナー(第13回)は10〜11月頃、熊本県のJAあしきたで開催される予定。詳細は決まり次第発表する。

直売所「旬鮮プラザ『満菜館』」(左)は食農教育と消費者交流の拠点として店舗前に水車と水田を設置している。大栄西瓜選果場ではスイカの出荷が始まったばかり。1日5万玉を選果する。

(写真)
直売所「旬鮮プラザ『満菜館』」(左)は食農教育と消費者交流の拠点として店舗前に水車と水田を設置している。大栄西瓜選果場ではスイカの出荷が始まったばかり。1日5万玉を選果する。


(※ 文中、高見氏の「高」の字は正式には旧字体です。)


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