木村理事長は政府備蓄米の放出について「緊急事態だということだろうが、やはり唐突感は強く問題を残している。では次はどんなときに放出するのか、となる」と強調し、市況に影響を与えないように回転備蓄をやめ棚上げ備蓄にしたことも含め、審議会食糧部会で備蓄米をどう放出するかについては議論をしていないとして、今回のような対応を「生産者にとっては買い上げもあり、と映っているのではないか」と指摘した。
売却されるのは19年産〜20年産。古米のため「どこまで実際に主食用として使えるか、価格の評価もみんな分からない状況にあると思う」としながらも、かりに高値がつけば24年産米への「影響は避けて通れなくなる」として新米が高くなる可能性もあるとした。
出来秋で高値がつくと過去の例からは年明けから春先にかけて価格が大きく下落することや、消費減にもつながりかねず「在庫の持ちように影響。リスクを背負った難しい経営を強いられる1年」との見方を示した。
こういうなかでリスクヘッジのための米先物取引について東京穀物商品取引所が閉鎖され米先物取引の試験上場は関西商品取引所のみで継続されるが「おおいに期待したい」などと話した。おもな発言は以下の通り。
【米先物取引の試験上場について】
原発事故問題で米の仕入れも先が読みにくくなった。集荷団体の集荷率も下がってくるなかでどう買うか、どう値をつければいいか分からなかっただけに先物取引の価格指標が大変大事な時期だった。 24年産はまさにどう活用していくか、スタートの年だったわけで、この段階で東穀が行き詰まったことは大変残念。関西に期待する。関東の関心をいかに薄れさせないか十分な配慮をして進めていただきたい。
ただ、集荷団体もこれだけ集荷が困難になってくると、いつまでも委託販売だけでいくわけにもいかなくなり、買い取りという話も近づいているような気もする。その意味からいえば自分が買い上げたものの価格をどうリスクヘッジするかというニーズは今まで以上に出てくる環境になったのではないか。
【産地との複数年契約など新しい取り組みについて】
複数年契約ができるところ(卸)は応じている。しかし、昨年のように来るはずのもの(米)が来なかったということを考えると、複数年契約をしたうえで、秋の価格がどうなっていくか幾通りもの予想を立てながら(卸は)動いていると思う。 今までのように一カ所から安心してわけてもらえる状況ではなくなったという意識は非常に強くなっている。産地からの流通がもっと多岐に渡ってくるという分岐点に今年はなってくるという感じがしている。
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