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農業倉庫の管理対策を客観的に評価 穀検が「食糧倉庫管理システム」をスタート

 一般財団法人日本穀物検定協会(穀検)は、食糧倉庫が行っている有害生物防除や保管管理対策などの現状を専門の審査員が評価する「食糧倉庫管理システム」を新たに事業化すると6月21日、公表した。穀検は、このシステムによって「より安全・安心」で「高品質」な食糧倉庫の保管管理体制づくりを支援していきたいとしている。

 穀検は、衛生管理の専門家や食糧保管業界団体、AIBシステム(米国の製パン研究所が開発した安全な食品を製造するための適正製造規範を重視したシステム)の専門家などが参画した研究会で「食糧倉庫管理基準」をまとめた。
 管理基準では(1)作業方法と保管管理、(2)施設管理、(3)清掃管理、(4)総合有害生物管理、(5)責務と文章規定の5つのカテゴリーのもとに審査項目として計32項目を決めている。審査員が倉庫に出向きこれらの項目を3段階で評価する。
 審査にあたっては(1)どのような内容がチェックされるか事前に説明するコンサルティング(審査手数料3万円)を受けたうえで、(2)現場での審査結果を郵送で通知する予備審査(同6万円)、(3)審査員が行った審査結果を穀検が設置する判定委員会で検証したうえで結果を郵送で通知する本審査(同7万円)が基本。予備審査と本審査の違いは判定委員会の検証があるかないか。
 (1)のコンサルティングは必ず受けなければならないが、予備審査をはぶいて本審査から申し込むこともできる。また、本審査後も半年後、1年後など継続的に適合確認を受けることもできる(同4万円)。
 そのほか、オプションとして本審査結果に基づき「S(最優秀)」、「A(優秀)」などの検査時点での格付け(ランク付け)を求めることも可能だ(同1万円)。ただし格付けは原則1年間を有効期間とする。

◆フードチェーンのセーフティネットの一環

 審査項目には、たとえば、入出庫時の品質や数量、包装等の確認体制や、保管中の穀温・湿度の管理体制や清掃体制、有害生物の予防と駆除などのほか、倉庫管理業務の責任体制や教育訓練などがある。
 これらをそれぞれ3ランクで評価しその結果を伝えるが、穀検では「倉庫管理業務の改善すべき点を指摘事項と示していきたい」として倉庫が保管している製品の事故を未然に防ぐ予防的な措置を現場に指導するシステムにしていきたいとする。 伊藤元久理事長はこのシステムについて「倉庫管理に対する意識改革をしてもらうことも狙い。フードチェーンのセーフティネットがレベルアップすることにもつながると考えている」と話し、今後、基幹的業務として構築していきたいという。


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