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「未来のために」脱原発への思いは一つ 17万人が結集

 原発はいらない!――「さようなら原発一千万人署名市民の会」は7月16日、代々木公園で「さようなら原発10万人集会」を開いた。
 気温33度の炎天下の中、全国各地から17万人もの参加者が集まり代々木公園一帯を埋めつくした。

「さようなら原発10万人集会」 「福島(原発事故)も解決してねぇのに再稼働なんて信じらんねぇ」。司会を務めた福島県いわき市出身の講談師・神田香織さんのいわき弁で集会はスタート。呼びかけ人のルポライター・鎌田慧氏は、これまで全国で集めた750万人分の署名を首相官邸に提出した翌日、政府は大飯原発再稼働を決めたことに「主権者の声を、民意を、汗と涙によって集めた署名を、踏みつぶして平然としている内閣にNOを突きつけたい」
 「政府は2030年(の原発依存度)を15%で逃げ切ろうとしているが絶対許せない、ただちに0%だ。政府はパブリックコメントをやるといっているが徹底的に原発は嫌だという声をぶつけ、エネルギー環境会議をパンクさせましょう」と力を込めて語った。
 音楽家の坂本龍一氏は「言ってみればたかが電気。たかが電気のために命を危険にさらさなければいけないのか。2050年ごろには電気は各家庭や事業所や工場で自家発電するのが当たり前の社会になることに希望を持っている。電気のために美しい日本、国の未来である子どもの命を危険にさらすようなことはするべきでない。お金より命、経済より生命、子どもを守りましょう。日本の国土を守りましょう。福島の後に沈黙していることは野蛮だ」と訴えた。
 また、経済評論家・内橋克人氏は「対案なく原発反対と叫んでみても意味がないという脱原発運動へのあざけりの空気が醸し出され始めた。しかしこれは政府・官僚が国民を脅す、口を封じさせるための常套手段。ここを見抜かなければならない。人々の魂に根づく平衡感覚や鋭敏な危険察知能力、命ある者に必ず備わっている畏怖心こそが安心社会の礎である」などと警戒すべき社会の風潮に警鐘をならし、「私たちの子どもや孫、未来への最低限の責任だ。このことを今深く心に刻んでさらに前進を続けたい、高い志を掲げ続けたい」と強調した。


◆命を守るために戦おう

 小説家の大江健三郎氏は「原発事故がなお続く中で大飯原発を再稼働させた。さらに再稼働を続けていこうとしている政府に今、侮辱されていると感じる。私たちは政府の目論見を打ち倒さなければいけない」。
 作家・落合恵子氏は「何という政治であり政権か。『コンクリートから人へ』と言った人たちが『命より原発』を選んでしまった。
 私たちが守るのはたった一つ、命です。すべての命を脅かすものと対峙していきましょう」と熱く訴えた。
 また、作家・澤地久枝氏は「今、一生懸命このようなことをしているのは未来のためだと思う。日本は産業大国、経済大国と言っているが、小さな国になることを何で恥じることがあるのか。小さい国土にふさわしい規模で、『この国に生まれて生きて良かった』と思えるような国にしていく」。
さようなら原発10万人集会 小説家・尼僧の瀬戸内寂聴氏は「これは私たちだけの問題ではなく国中の問題であり世界につながる問題。『悪いことはやめてくれ』と、たとえ相手が聞かなくても言い続けましょう」と語った。
 集会後は原宿、渋谷、新宿の3コースに分かれてパレードを行い「脱原発」を市民にアピールした。
 

◆「現場を見て感じてほしい」  首相官邸前の抗議デモで

 今後、毎週金曜日に行われている首相官邸前の抗議デモもさらに規模の拡大が予想できる。7月13日、国会議事堂前の一角の「ファミリーエリア」には小さい子どもと一緒に家族で参加する人たちの姿が目立った。
 千葉県から9歳・10歳・12歳の3人の娘を連れて初めて参加したという母親は「テレビより現場を見せて何かを感じてほしいと思って連れてきた。今は何のことかよくわかっていないみたいだけど必ず記憶に残るだろうから大人になったときに思い出してほしい」と語った。
7月13日の周桑官邸前のデモのようす。白い風船を持ち「原発反対」コールをあげた 1歳半の息子と家族3人で参加していた30代会社員の男性は、夫婦で何度も参加しているといい「シンプルだけど原発を止めてほしい、日本に正しい未来を残したいという気持ちです」と話し、今後も毎週参加する予定だという。

(写真)7月13日の周桑官邸前のデモのようす。白い風船を持ち「原発反対」コールをあげた


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