◆「震災が忘れ去られている」
要請活動に参加したのは鈴木代表のほか、藤尾東泉副代表(岩手・JAいわて中央代表理事組合長)、足立武敏副代表(福岡・JAにじ前代表理事組合長)、古谷茂男氏(神奈川・JAはだの代表理事組合長)、萬代宣雄氏(JA島根中央会会長)、宮本幸男氏(JA土浦会長理事)ら全12人。
農産物の生産・販売にかかる消費税のゼロ税率導入、TPPへの断固反対、組合員・JA役職員の教育・研修の強化、など7項目の大会アピール(別掲)とあわせて、「震災から1年以上経ち、被災地の復興や農産物の風評被害対策などが忘れ去られているのではないか」(鈴木代表)との危機感から、昨年7月に震災からの復興について決議した13項目のアピールについても、再度要請した。
◆JAの基盤強化につながる広報・研修を!
JA全中の冨士重夫専務理事は、「(研究会とJA全中の)基本的な問題意識はまったく同じ。このアピールは、TPPにせよ、消費税にせよ、自信と誇りをもって気合いを入れて取り組んでほしい、という現場のJAからの叱咤激励だと受け止める」と謝辞を述べるとともに要請内容の実現に向けて努力することを誓った。
また、一部報道で政府が8月末までにTPPへの参加を表明するのではないか、とされていることについては、「決してそのような拙速な決定をしないよう、民主党に働きかけている」との現状報告がなされた。
震災からの復興と風評被害対策については、JA全農の神出元一代表理事専務が「福島産農産物は安値で買いたたかれている一方、店頭で安く売られているわけではない。いびつな形で消費されているのは大きな問題だ」として、追跡調査などして根本的な解決を図るべきだという要請に賛同した。
JA全共連、農林中金に対しては、「事業推進のためだけでなく、JAグループ全体のイメージアップや基盤強化につながるような広報、研修に協力してほしい。資金の提供とあわせて、企画等の提案も積極的に」(萬代氏)などと要望した。
JA共済連の勝瑞保代表理事専務は、「地域の活力が失われれば、共済事業も弱体化する。統一広報でJAのイメージアップを図った上で、事業を推進する形をめざしたい」と話した。農林中金の河野良雄代表理事理事長は、「各種の研修や機構改革などを経て、3年前に比べれば、職員の中に、第1次産業の支援をしているという意識が高まっていると感じている」と話した。
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山田氏(左)に要請書を手渡す鈴木代表
◆ゼロ税率導入は還付制度とセットで
民主党の平野達男復興大臣に対しては、改めて震災からの復興に尽力するよう要請。平野氏は「津波地域の復旧には、地権者との調整なども含めて大変な時間がかかることを理解してほしい。(原発事故については)東電の社長交代を契機に、幹部職員と定期的に会うことになった。賠償についてしっかり話をしていきたい」と答えた。
自民党では、山田俊男・農林部会長のほか、元農水相の石破茂氏を訪問した。
山田氏はTPPについて、「野田政権が秘密交渉をやめない場合、重大な決意をもって臨む」とした党としての抗議文を決めたことを報告。石破氏は「地域の経営をJAが担う時代になった。今の農政は選挙のための農政。これを変えていきたい」と約束した。
また、消費税のゼロ税率導入については、「食料という、いわば生存権に税金をかけるべきではない」(鈴木代表)との要請に対し、農水省の奥原正明経営局長が「農産物の販売をゼロ税率にしても、資材の仕入れ等には消費税がかかり、農業経営はますます悪化するだろう。必ずこれらの還付制度をセットにして考えるべきだ」と提案した。
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奥原氏(右)と意見交換する新世紀JA研究会代表ら
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