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不満続出の食品の表示一元化議論 議員連盟も大臣に要請

 食品表示の一元化に向けて検討をしている消費者庁の検討会は報告書のとりまとめ段階に来て、議論がまとまらず委員をはじめ、関係者から不満が出ている。民主党の議員連盟も7月25日に松原仁・内閣府特命担当大臣に要請をした。

◆何のための表示か

 食品の表示に関する法律には、「食品衛生法」、「JAS法」、「健康増進法」の3つがある。消費庁は「消費者基本法」と「食品安全基本法」に基づき、各省庁で管轄していた食品表示を一元化するための検討を行ってきた。
 具体的な表示事項として焦点となっているのは栄養表示の義務化、加工食品の原料原産地表示の拡大。そのほか外食や中食、インターネット販売などへの適用をどうするかも課題となっている。
 栄養表示についてはどのような栄養成分を表示するのかという点ももちろんだが、そもそも義務化をすることの是非も議論になっている。
 また、原料原産地表示の拡大では加工食品業界からコストが増加するなどの問題点も指摘されているほか、その表示目的は何かという点で異論もいまだにある。一方で消費者からはアレルギー物資や遺伝子組み換え農産物などの表示も義務づけを図るべきだとの意見もある。
 報告書のたたき台の基調が高齢化社会に対応した分かりやすい表示、という点が強調されているが、この点に関して消費者委員からは必要な表示をはぶくための事業者寄りの姿勢だとの批判も出ている。


◆知る権利、選ぶ権利

議員連盟も大臣に要請 7月20日に検討会に提示された報告書案をめぐる議論でもいまだ前述のような意見対立がみられ最終報告がどうなるのか不透明な部分が多い。
 こうしたなか民主党の議員連盟「市民とともに消費者行政を考える議員連盟」(会長:辻恵)は、松原仁大臣に要請書を手渡した。 要請では、検討会の報告書のたたき台が「社会的コストや事業者の遵守コストが高くなることなどマイナスの記述がされており、必ずしも消費者側から議論されているとはいえない」と強調した。
 そのうえで食品表示の目的は消費者が食品の選択に必要な情報を確保することにあり、事業者による適切な表示に基づき、消費者が安全・安心して選択購入することができるための表示が求められている、と訴えた。
 具体的には食品表示は消費者の知る権利、選ぶ権利であることを明記することを基本に求め、飼料を含むすべての食品を対象に遺伝子組み換え食品を表示対象にすること、国産品を選択することにより食料自給率の向上にもつながることから加工食品の原料・原産地表示は原則義務化すること、栄養成分の表示の義務化。トランス脂肪酸と飽和脂肪酸は過剰摂取による心疾患リスクがあるため義務化すること、食品添加物の表示、の5項目を挙げた。


◆結論はどうなるのか?

 消費者庁は検討会で報告書がとりまとめれた後、表示一元化のための新しい法案を作成することになっている。松原大臣は議員連盟の要請に対して、反映させるとの認識を示した。しかし、検討会の報告書がどうまとまるか不透明だ。たとえば、原料原産地表示については産地の「誤認」を防ぐため、という目的でその表示対象を拡大してはどうかという方向で議論されてきたが、20日に提示されたたたき台ではこの問題を議論した痕跡すら残されておらず、委員からは猛反発が出た。「合意に至らなかった」とする記述があるのみだった。
 次回には今回の議論の経過と今後の課題も含めてとりまとめる方針だというが、議連をはじめ生産者や消費者が求めてきた原料原産地表示が拡大される方向が提示されるかどうかは不透明となっているの現状だ。

 


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