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備蓄米の放出に異論続出 食糧部会

 7月31日の食糧部会では農水省が6月に実施した備蓄米の「代替供給」について「なぜ食糧部会を開かなかったのか」、「代替供給などという考え方は聞いていない」、「備蓄米の放出についてルール化すべき」などの反発や意見が相次いだ。

 今回の代替供給は[1]東日本大震災の津波などで倉庫に保管されていた22年産米が被災、これを埋め合わせるかたちで23年産米の前倒し供給が行われたこと、[2]原発事故による放射能汚染で100ベクレルを超える23年産米が特別隔離されたこととの理由で合わせて4万tが放出された。
 一方、備蓄米の放出については、大凶作や2年連続の不作などで米の供給が著しく不足する際、食糧部会で作柄、在庫量、市場動向などについて総合的な議論を行ったうえで、農林水産大臣が判断することとされている。 しかし、今回の放出については食糧部会は開かれず、委員からは「なぜ部会が招集されなかったのか」といった指摘が出た。
 その理由について農水省は「需給フレームを変更するものではなく、(震災や原発事故など)アクシデントに立ち至り供給不足が見込まれるので、(需給フレームを)元に戻すもの」などと部会開催は不要と判断したと説明。ただし、今回の事態は備蓄米の放出ルールを決めた際、「当時は想定していなかった」ことを認めた。


◆ルール策定が必要

 JA全中の冨士専務は仮に代替供給という今回の措置を認めたとしても売却量と時期をどう考えるのかが問題だと指摘した。
 東日本大震災の被災による2万tの流出は昨年の7月の食糧部会でも報告されていたことだ。さらに昨年末から今年にかけて原発事故の影響による特別隔離対策の2万tがその後に追加されたことになるが、「不足が2万tだったのなら備蓄米の代替供給はしなかったのか」と放出の基準について疑問を投げかけた。さらに備蓄米の放出時期についての考えも質問した。
 これに対して農水省は「実際の流通段階で米の供給不足がどう影響するか」を見極めてきたとし、業界からのヒアリングなどで端境期にかけて米不足となる心配の声が聞かれたことなどを今回の措置の理由として説明した。 また、実施時期についても需給と価格に大幅に影響を与えないよう引取期限を8月末としたうえで6月に入札を実施したとした。
 いずれの説明も明快さに欠けるといえる。というのも、23/24年の主食用の生産量は813万tで仮に4万tが前倒し消費されて不足感が生じているとしても809万tは供給されることになる。一方、需要量は805万tというのが需給計画だった。したがって単年度では供給量には余裕があることになり、なぜ備蓄米を放出したのか、ということになる。
 こうしたことから冨士専務は「売り渡しだけではなく買い入れも5万【?】10万tなど一定の幅での調整をすべき」だと主張。需給と価格安定のためにこうした調整を行うことは、米価変動交付金を交付するよりも財政負担が少なく、生産者にも消費者にもメリットがあるとした。また、世界的に穀物価格が高騰しているなか、余裕を持った需給計画を考えるべきとの指摘も出た。
 農水省はこうした備蓄米の「調整のルール化を決めるべき」との指摘に「宿題をもらったと認識している」として今後検討する意向を示した。


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