農政・農協ニュース

農政・農協ニュース

一覧に戻る

計画上回る運用利回り 「一時金払い」選択者4割超  農林年金決算

 農林年金(農林漁業団体職員共済組合)は8月10日、23年度決算を公表した。決算内容は6月の理事会で議決されていたが、法律によって農水大臣の承認申請を必要とし、7月に承認されたことから公表したもの。

 農林年金は厚生年金の3階部分(職域年金)にあたる特例年金の給付を行っている。特例年金の給付対象者は平成14年時点で1年以上、農林年金に加入実績がある人で、23年度の給付金は722億2600万円となった。前年度にくらべて124億5600万円(14.7%)減少した。
 特例年金は22年度から公的年金では初めてとなる将来の年金を先取りし一括して受け取ることができる「一時金払い」制度をスタートさせている。
 22年度は1年間に限り既受給者も一時金払いを選択することができたため給付額が増えたが、23年度は新たに受給権が発生した人のみが対象となったことから一時金給付額が減少、全体の給付額減となった。
 農林年金によると一時金を選択する人の割合はこれまで40%超となっているという。
 給付のための収入は農林漁業団体が負担する特例業務負担金収入(296億6200万円)、積立金の運用収入(44億9000万円)、国庫補助金収入(11億6600万円)。業務経理への繰り入れを含めて不足分(380億8900万円)は積立金から充当した。これによって23年度末の積立金は2561億1900万円となった。
 積立金の運用利回りは1.674%となり、計画利回り1.560%を上回った。なお、農林年金の積立金の運用範囲は国債、金融債など安全な債券を中心とするよう制限されている。 また、23年度末の責任準備金は3121億円を計上。ただし、年金資産額が2561億円のため不足責任準備金として560億円を繰り入れた。 農林年金は厚生年金との統合から30年となる平成44年を制度完了としているが、こうした給付経理状況をふまえて今後の制度見直しについて組織協議を実施することも検討している。
 業務経理では事務費総額が19億6908万円。このうち4億5402万円が厚生年金の事務受託経費だが、見合いの額を厚労省から事務受託収入として得ている。事務費はこのほか国庫補助金2億6431万円、給付経理からの繰り入れ12億1209万円でまかなっている。


(関連記事)
「一時金払い制度」を4割が選択  農林年金決算 (2011.08.16)

計画上回る運用利回り  農林年金の決算 (2010.08.17)

(2012.08.14)