◆70年に1度の高温
米国ではトウモロコシの作付け面積は1937年以来最大となったものの、6月以降は降雨がなく米国中部のコーンベルト地帯では70年に1度ともいわれる高温・乾燥の影響で生育が著しく悪化。米国農務省によると作況を表す「優」と「良」の比率は5月の77が7月には26へと大きく低下した。
8月10日公表の需給見通しでは前月より下方修正し、生産量を前年度より12.8%減(5600万t減)の2億7400万tと見込み、期末在庫率を5.8%とした。前月より3.5ポイントの下方修正で17年ぶりの低水準となった。世界全体でもトウモロコシ生産は減少し、生産量は3.2%減の8億4900万tと見込んだ。
この影響で価格は高騰し7月中旬には3日連続で史上最高値を更新。7月20日は1t324ドル(1ブッシェル8.2ドル)の史上最高値をつけた。
◆大豆も史上最高値
世界の大豆生産量は南米の増産見込みで増加するものの、米国の高温乾燥で米国生産量は前年比12%減(1000万t減)と予測。世界全体の期末在庫率は20.8%(0.3ポイント増)だが、米国は中国の輸入増等で4.2%と前年の4.6%を下回る水準が予想されている。世界全体の生産量は2億6000万tの見込み。
価格も高騰し7月20日は1t646ドルと史上最高値を更新した。 小麦は前年度に悪天候の影響を受けた米国やインドで増産となる見込みだが、ロシア、カザフスタン、EUで減産となり、世界全体で4.7%減の6億6200万tと予想されている。消費量のほうが上回る見込みで期末在庫率は2.5ポイント減の25.9%の予想だ。
在庫水準は大きく下がってはいないが、トウモロコシ価格の高騰に追随して、小麦も今年前半の1ブッシェル6ドル半ばでの推移が現在は8ドル後半にまで上昇している。
米の生産量は東南アジア諸国の増産で世界全体で史上最高水準の4億6300万tの予想。ただし、中国での消費量が増えるため期末在庫率は1.1ポイント減の21.8%が見込まれている。
穀物全体の世界の生産量は22億4700万tの見込み(2.7%減)。消費量は22億8700万t生産量を上回る。期末在庫率は1.7ポイントの減の18.8%の予想。なお、FAO(国連食料農業機関)が安全水準としている期末在庫率は17〜18%。
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